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オカヤドカリの飼い方 【日常の管理】

2014-04-06 09:51:03 | オカヤドカリの飼い方

〈日常の管理〉

・適正飼育頭数(60cm水槽で5匹以下、45cm水槽で2匹以下)を、守る。
・床材として適度に湿らせた細かい砂を15cm以上敷く。
・適切なシェルターを設置する。
・いつでも新鮮な真水と海水を利用できるようにする。
・25℃前後の温度と70%以上の湿度を保つ。

上記の飼育環境をきちんと維持していれば、日々の世話は基本的に餌と水の交換だけです。
糞も少量なら、毎日掃除する必要はないでしょう。
頻繁にケージ内を弄り回してストレスを与えるよりは、多少放置気味のほうが良い結果が得られるはずです。
ただし生体の状態や、飼育容器内の温度、湿度は毎日しっかりと確認してください。

〈餌と水の交換〉
オカヤドカリは日没後から明け方に掛けて、活発に採餌しますので、餌と水の交換は夕方か夜早いうちに行います。
飼育容器内を加温している季節は、温度が急激に下がらないように、必ず室内を充分に暖めてから作業に掛かってください。

〈食べ残しや糞は取り除く〉
食べ残しは放置しておくと、腐ったりカビが生えたりしますので翌日には必ず取り出します。
シェルターに餌を持ち込むこともありますので、時々確認してください。
手の入らない場所の食べ残しをつまみ出すのに、長めのピンセットがあると便利です。
砂上に散乱した糞は、一つずつピンセットでつまんでいると、手間も時間も掛かるので、盆栽用のミニシャベルで砂ごと掬い出すと手早く簡単に作業できます。
掬い出した砂は水を入れて軽く掻き混ぜると、糞やゴミが浮かび上がりますので、素早く流してしまいます。
洗った砂はよく水を切って、一旦乾かしてから飼育容器に戻します。
雨の掛からないベランダなどに出しておけば、夏場なら翌日には乾いているはずです。


 

〈床材の交換〉
食べ残しや糞をこまめに取り除いていても、床材の砂は汚れますので、定期的に交換して洗浄します。
適正頭数(60cm水槽で5匹以下、45cm水槽で2匹以下)で飼育していれば、2~3ヶ月に一度で良いでしょう。
半年や1年に一度でも問題ありませんので、飼育容器の状況を見て判断してください。
極端に汚れていなければ、表面の砂を3分の1程度交換する程度で充分です。
脱皮中の個体がいるときは、無理に砂交換をする必要はありません。

〈砂交換の手順〉

①まず生体を取り出して、別の容器に移します。
ごく短時間なら、脱走に注意してプラケースやバケツに直に入れておけば良いですが、長くなるようならシェルターや水入れをセットしておきます。
冬場はくれぐれも加温を忘れないようにしてください。

②シェルターや登り木などを全て取り出します。
木製品は水洗いした後、カビを防ぐために天日で充分に乾燥させる必要がありますので、必ずスペアを用意しておきます。

③シャベルか手で表面を削るようにして、砂を取り出します。
海水容器の周辺の砂は、こぼれた海水で塩分濃度が高くなっていますので、必ず底まで取り出してください。

④砂の状態を確認します。
底まで掘ってみて、湿り具合をチェックしてください。
飼育容器の気密性を高める冬場は、意外に底が濡れ過ぎていることがあります。
濡れすぎているようなら底から多めに取り出してください。

⑤取り出した分だけ、交換用の乾いた砂を補充します。
全体を軽く掻き混ぜ、湿り具合を調整します。
砂を屋外に保管している場合は、必ず温度を調整してください。
特に冬場は、早目に室内に入れて暖房器具などの近くで充分に温めておきます。

⑥シェルターや登り木、水入れをセットします。

⑦ケージ内の温度と湿度を確認して、生体を戻します。
しばらくは興奮状態で動き回ると思いますので、落ち着くように毛布などを掛けて暗くしておくと良いでしょう。

⑧取り出したアクセサリー類と砂を洗浄します。



〈砂洗いの手順〉
取り出した砂は洗って再利用します。
ほとんど手の掛からないオカヤドカリ飼育において、この砂洗いが唯一手間らしい手間といえるでしょう。 

 ①砂をふるいに掛けて、ゼオライトを選り分けます。
ゼオライトは軽く水洗いして天日で乾燥させれば再利用できますが、変色したり粒が小さくなったりすれば更新してください。
古いゼオライトは園芸用に利用すると良いでしょう。
 

 ②水を注いで掻き混ぜると、糞やゴミが浮いてきますので、素早く流してしまいます。
後は米を砥ぐ要領で水を換えながら濁りが出なくなるまで良く洗ってください。
一度にたくさん洗うより、少しずつ何度かに分ける方が効率良く洗えます。

 

③バケツに土嚢袋をセットして、洗い終わった砂を水ごと流し込みます。
片手鍋があると便利。
洗面器に残った砂はホースで水を掛けてきれいに流します。

④土嚢袋を持ち上げて水を切ります。
袋の角を下にすると、より効果的です。

 
⑤袋のまま、柵などにぶらさげておくと一晩で完全に水が切れます。
土嚢袋は通気性が良いので、そのまま、雨の掛からないベランダや軒下に置いておけば、夏場なら数日、冬場でも数週間で完全に乾燥します。
ちなみに、管理人は、画像のように、レンガで組んだ台を利用して水切りをしています。
 

⑥天日に当てて消毒した後、適当な袋か容器に入れ、雨などに濡れない場所で保存します。
土嚢袋のまま保存しても良いのですが、布目から多少砂がこぼれるので、室内に持ち込むと掃除が大変です。

 

 ※メンテナンスに使用する用具はこちらで紹介しています



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オカヤドカリの飼い方 【餌の話】

2014-04-06 09:44:25 | オカヤドカリの飼い方

〈オカヤドカリは雑食動物〉 
 オカヤドカリは雑食動物です。
雑食動物というのは、「何でも食べる動物」というより「何でも食べなければ生きていけない動物」と考えた方が適切です。
専食あるいは偏食傾向の強い生き物は、不足する栄養素を体内で作り出すことができますが、雑食の生き物は食べ物に依存する割合が大きくなりますので、できるだけ多くの品目を体内に取り込まなくてはなりません。
オカヤドカリを健康に育てるためには、様々な食物をバランスよく与えることが大切なのです。

〈オカヤドカリは何を食べているのか?〉
ナキオカヤドカリ(Coenobita rugosus)やムラサキオカヤドカリ(Coenobita purpureus)は比較的海岸近くに生息する種類ですから、夜になると海岸で採餌する様子が観察されます。
特に動物性の餌については、その多くを漂着物に依存しているようです。
魚はもちろん、動物や鳥、甲殻類、昆虫など死骸なら何にでも群がりますが、元気な生き物を襲うことはありません。
例外的に、アフリカマイマイを襲うという報告がありますが、これは餌としてではなく貝殻を奪うための行動のようです。
「あまん」に記載されている観察記録によると、仰向けにしたアフリカマイマイの殻口に鋏脚を入れて軟体部を引きずり出すとのことですが、引き出した軟体部を摂食する様子は見られなかったそうです。
飼育下では、他のオカヤドカリを引っ張り出して貝殻を奪う行動が見られますが、それに類する習性ではないかと思われます。

植物質の餌としては、アダンの実を好むことが良く知られていますが、他にもモクタチバナ、ケイヌビワなどの葉、アクが強く有害とされるクワズイモなど様々な植物を摂食しています。
また、飼育下において流木、紙、木綿糸などを食べることから、自然界でも木の根や皮などセルロース主体の食物も摂取しているのではないかと推察されます。
自然の食物とはいえませんが、ニンジンなどの農作物やキャンプ場の残飯なども、現在では餌の選択肢に入っているようです。

飼育下においても、これら自然界で食べている食物にできるだけ近いものを与えることが基本です。
オカヤドカリは、好物でも同じ餌ばかりを与え続けると食べなくなります。
これは、必要な栄養素を偏ることなく摂取するという、雑食動物の本能によるものです。
先に述べたように、オカヤドカリを健康に飼育するためには、餌にバリエーションを持たせて、毎日違う餌を与えてやる必要があるのです。
そうは言っても、オカヤドカリのためだけに多くの種類の食物を用意するのは大変です。
しかし幸いなことに、飼い主である我々人間も雑食動物です。
飼い主の毎日の食事から、適当な食物を少しずつ分けてやれば、餌のバリエーションは充分に確保できるはずです。


〈動物性の餌 〉
まず何といっても魚類です。
アジやサンマ、イワシなど、食卓によく登場する魚で充分ですが、どちらかといえば、タイなど白身の魚を好むようです。
調理したあとの残渣(アラなどを)を、小さく切って冷凍しておくと便利です。
管理人は海棲のヤドカリも飼育していますので、生のままストックして、オカヤドカリにも生で与えていますが、傷みやすく扱いにくいので、オカヤドカリだけに与えるなら加熱調理したもので十分です。
エビやカニなどの甲殻類、アサリやシジミなどの貝類も良い餌になりますので、お汁の実などを分けてやってください。
シバエビやクリル(オキアミ)などの乾物は保存がきくので、常備しておくと重宝します。
煮干は、頭の部分を少し食べることもありますが、あまり好みません。
削り節は食べないようです。
また、甲殻を作るための必須ミネラルであるカルシウムの補給に、コウイカの骨(カトルボーン)を、常時飼育容器に入れておくと良いでしょう。
カトルボーンは、小鳥用にペットショップで売られていますが、料理の際に取り出した物で充分ですし、海岸でも拾えます。
貝殻も小さく割って食べることがありますので、交換用の貝殻も食物同様安全なものを与える必要があります。
塗料で着色したペイント貝などはもってのほかです。


〈植物性の餌 〉
これも日常の食卓から野菜や果物を少し切り分けてやります。
よく食べる果物は、リンゴ、ナシ、カキなど。
柑橘類など酸味の強いものは好みません。
野菜では、サツマイモ、ニンジン、レタス、トウモロコシなどはよく食べますが、ダイコンやタマネギなど辛みの強いものは苦手なようです。
また白米やパンも植物質のバリエーションとして与えることができます。
流木や生木の皮も良く食べますので、登り木はくれぐれも安全な物を入れてください。


 


パンを食べるムラサキオカヤドカリ
好物だが素材のはっきりしない菓子パンや調理パンは避けた方が無難 


 

〈加工食品には注意〉
食品添加物の心配があるカマボコやソーセージなどの加工食品は与えないでください。
剥き身のアサリやカニなども薬品処理されている場合がありますので避けた方が無難です。
実際、殻つきの新鮮なものに比べると、食いつきは格段に悪くなります。
余談になりますが、魚の干物は漁港近くで売られている天日干しの物はよく食べますが、冷凍の魚をガスや石油で乾燥させた粗悪品には見向きもしません。
野菜類も、無農薬で有機栽培された物と、普通にスーパーに売られている物とではまったく食い付きが違います。
情けないことですが、我々は小さな甲殻類でさえ嫌がるような、不味くて危険な食品を日常的に食べているようです。
安心してオカヤドカリに給餌するためには、まず自分たちの食生活を見直すことが必要なのかもしれません。

〈配合飼料 〉
ザリガニや観賞魚用の配合飼料は、栄養バランスが良く手軽に与えられますので、ぜひ利用したいところですが、残念ながらあまり食べません。
物によっては多少手を付けることもありますが、やはり与え続けると食べなくなりますので、これだけで飼育するのは無理があります。
わざわざ買ってまで用意する必要はありませんが、他の生き物の専用フードなどがあれば、バリエーションの一つとして与えてやればいいと思います。
 

〈コラム 落ち葉と虫〉

オカヤドカリ類は海岸で暮らしているイメージが強いのですが、大型の個体は海岸から離れた林や草むら、畑など内陸部へ活動域を広げます。
海辺を離れたオカヤドカリにとって「主食」となるのは、「落ち葉」と「昆虫の死骸」ではないかと、管理人は考えます。
実際、飼育下においても、これらには非常に強い嗜好を示します。

落ち葉は、庭に飛んできたものを適当に拾って、そのまま容器に入れていますが、樹木の種類によって、よく食べるものと見向きもしないものがあります。
色々な種類の落ち葉を与えてみて、嗜好性を調べてみるのもおもしろいと思います。
昆虫は、ハエ、ガ、バッタ、コガネムシ、それに昆虫ではありませんがオカダンゴムシやムカデなどもよく食べます。
生きた昆虫を捕らえて食べることはありませんので、必ず死んだものを与えてください。
あまり古くなった死骸は食べません。
自然下でセミを食べているのを観察したことがありますので、アブラゼミの死骸を与えてみたことがありますが、殻が堅すぎて食べにくそうでした。
大型の昆虫を与える場合は食べやすいように小さくちぎってやる方がいいかもしれません。
ただ、飼い主それぞれの考え方にもよりますが、生きた昆虫をわざわざ殺してオカヤドカリに与えるのは、ちょっと情けない気がしますので、できるだけ死骸を探して与えるようにしています。

 
〈餌の与え方 〉
オカヤドカリは基本的に夜行性ですから、餌は夜に与えます。
餌は鉗脚(鋏脚)でちぎって食べるので、あまり細かくする必要はありません。
むしろ野菜や魚肉などは押さえてちぎりやすいように、ある程度の大きさがあった方が良いでしょう。
ただし、オカヤドカリはそれほどたくさんの餌を食べませんから、必ず食べ残しが出ます。
残った餌は放置せず翌日には必ず取り出してください。
特に生の魚介は傷みが早いので、翌朝すぐに取り出さないと容器内に悪臭がついてしまいます。
餌入れは配合飼料や白米など粒の細かい物や汁気の多い物を与える時には必要ですが、野菜などは砂の上に直接置いた方が、食べやすいようです。


〈餌植物を栽培する〉
前述したように、オカヤドカリは自然下で様々な植物を食べています。
低木に登って葉を食むこともあるようです。
飼育下においても、木の葉は大変良い餌になりますので、ぜひ与えたいものです。
オカヤドカリが好む植物を、自宅で栽培しておくと、いつでも与えることができますし、農薬などの心配もないので安全です。
オカヤドカリ用の植物としては、比較的入手しやすく、簡単に増やす事のできる、ガジュマル、ハクチョウゲ、グラプトペタルム(多肉植物)などがおすすめです。

〈ガジュマル〉
観葉植物として出回っていますので入手は簡単です。
ただし、観賞用植物は食用植物に比べて毒性の強い農薬を使用している場合がありますので、買ってきたものをそのまま与えるのは危険です。
まず、清潔な用土に植え替えて、1~2週間明るい日陰で管理します。
根が伸びはじめたら屋外に出し良く日に当ててやると、どんどん生長します。
1ヶ月もすれば農薬の害は消えるはずですから、伸びた枝を切り取ってケージに入れてやります。
ドリンク剤などの小瓶に水挿しにして、砂に瓶の首元まで埋めてやると長持ちします。
古くなって黄変した葉も良く食べますので、捨てずに入れてやると良いでしょう。
10cmくらいに切った枝を、肥料分のない清潔な土に挿しておくと簡単に発根します。
上手く管理すれば、1年で50cmくらいまで育ちますので、2~3鉢作っておくと、安定して枝葉を与えることができます。
ガジュマルは非常に丈夫ですが、寒さには弱いので冬場は屋内に取り込んで、水を控えめにして冬越しさせます。
肥料は旺盛に生長する夏場に、油粕の玉肥を鉢の縁に5~6個埋め込んでやる程度で充分です。


 
ガジュマル
夏場は屋外でよく日に当ててやるとどんどん育つ 



一部のブログや書籍などで、ガジュマルを鉢のままに入れる方法が紹介されていますが、これはガジュマルに良くないだけでなく、オカヤドカリにとってもたいへん危険です。
この件については、旧サイトに掲載していたコラムを再録しておきますので、ご一読ください。


〈コラム  ガジュマルについて〉 

現在、オカヤドカリを飼っておられる方の間では、ケース内にガジュマルを入れることが、ちょっとしたブームになっています。中には、「オカヤドカリの飼育ケースにはガジュマルを入れなければいけない!」と言わんばかりに鉢植えを探しまわっている方もおられるようです。

結論を先に言いますと、オカヤドカリを飼育するのにガジュマルは必ずしも必要ありません。むしろハイドロカルチャーは、オカヤドカリを殺してしまう危険さえあります。

もともと、オカヤドカリの飼育ケースに根付きの植物を入れることは、一般的ではありませんでした。
どちらかといえば、衛生面の問題などからあまり薦められてはいなかったようです。
ガジュマルが注目を集めたきっかけは、2頭のムラサキオカヤドカリを7年間(サイト閉鎖時)も飼育しておられた方が、ご自身のサイトに掲載された「オカヤドカリがガジュマルを食べる」という内容の記事だったと記憶しています。
その後、caveさんが鉢植えのガジュマルをハイドロカルチャーに仕立て直してケースに入れることを提案され、ご自身のサイト「偏屈の洞窟」で紹介されたことから、ガジュマルをハイドロ化してケース内に入れることが定着しました。
しかし、その頃から「オカヤドカリがハイドロコーンに潜ってそのまま死んでしまった。」という書き込みをちらほらと目にするようになります。
水気を求めてか、あるいは単なる気まぐれからか、ハイドロカルチャーの容器に潜りこんでしまったオカヤドカリが、そこで脱皮しようとして失敗したか、あるいは出られなくなってしまってそのまま力尽きたと考えられます。
脱皮についての頁を参照していただければ、ハイドロコーンが脱皮床としては不適当であることはおわかりいただけると思います。
また小型の個体の場合、粒が大きいハイドロコーンに深く潜ってしまうと戻れなくなることは容易に想像できます。ましては底には水が溜まっているわけですからここに浸かり込んで酸欠死する危険も大きいわけです。
つまり、小型のオカヤドカリにとって、ハイドロカルチャーは非常に危険なトラップとなるのです。
caveさんのサイトをよく読んでいただくと分かることですが、caveさんが飼っておられるのは、ある程度大きさのあるムラサキオカヤドカリが1頭だけです。
ハイドロ容器の深さから考えて出られなくなる危険はない上、単独飼育ということで個体に対して非常にきめ細かな気配りをしておられます。
しかも、ガジュマルの保護という意味合いも兼ねて、オカヤドカリがハイドロコーンに潜り込まないように工夫までされています。

その辺りをよく理解せずに、単に「よさそうだから」とか「みんなが入れているから」などとといって安易にハイドロ化したガジュマルをケースに入れることはあまりにも浅はかな行為だと言わざる得ません。

長くオカヤドカリを飼っておられる方は、それぞれ考えに考えて少しでも長生きさせるために腐心されています。そうして提案された工夫はオカヤドカリ飼育にとっては大変役に立つ情報です。
しかし、安易に真似るのではなく、まず、自身が飼っているオカヤドカリをしっかりと観察し、オカヤドカリがどういう生き物であるのか、自分自身の目で確認し納得した上で、何が必要なのかを良く考えてみることが大切です。

繰り返しますが、オカヤドカリを飼育するのにガジュマルは必ずしも必要ありません。

これからガジュマルを導入しようとしておられる方がおられましたら、まずご自身の飼育容器をしっかりと見直して、本当にガジュマルが必要なのか?ガジュマルを入れても良い環境なのか?もう一度熟考してください。
2005.5.21
                  
 
〈ハクチョウゲ〉
ハクチョウゲもガジュマル同様オカヤドカリの生息地である沖縄などに自生する小低木です。
ガジュマルよりは寒さに強いので、関東以西なら庭植えも可能です。
公園や民家の生垣など、街中にも良く植えられているので、探せば結構見つかるはずです。
ホームセンターに苗木が売られていることがありますが、ガジュマルと同じく挿し木で簡単に増やせるので、剪定屑などを貰って挿し木しておくと良いでしょう。
ただし、他人の庭から勝手に切り取ってトラブルになるようなことはくれぐれも避けてください。
ガジュマル同様、小瓶に挿して与えますが、ガジュマルよりは枝が腐りやすいので、瓶の中に少しゼオライトを入れておくと多少長持ちします。
管理は庭木一般に準じますが、寒冷地では鉢植えにして冬場は屋内に取りこんでください。


 

 
ハクチョウゲ
5cmほどの小枝を挿し木して3年目の株
5月に小さな白い花を付ける


ハクチョウゲを食べるムラサキオカヤドカリ
ドリンク剤の小瓶に挿して与えると良い
食べやすいように流木などで足場を作ってやる 


 


〈グラプトペタルム〉
アメリカ大陸原産の多肉植物です。
日本でも古くから栽培されていて、様々な品種が作り出されています。
もっとも一般的な「朧月」は、非常に強健で、雪や霜に当てなければ屋外でも越冬します。
繁殖力が強く、落ちた葉からも勝手に芽を出してどんどん増えます。
株を切り取ってケージの中に入れておけば、2~3週間はもつので、旅行などで留守にする時には大変重宝です。


 

 
朧月
古くから栽培されていて、もっとも身近で馴染み深い多肉植物 


 


〈摂食周期〉
何年も飼育している愛好家なら、良くご存知でしょうが、オカヤドカリには餌を良く食べる時期とあまり食べない時期があります。
この周期を良く理解しておくと、効率の良い給餌を行う事ができます。

・脱皮周期
 まず顕著なのが個体ごとの脱皮周期です。
脱皮が近づくと餌を食べなくなり、脱皮後には食いが荒くなります。
脱皮後は体力を回復させ、体を作る大切な時期ですから、蛋白質やカルシウムの豊富な動物質の餌を中心に与えます。

・日周期
 オカヤドカリは夜行性動物です。
当然、活動時間帯の夜間、活発に採餌しますので、給餌は夜に行います。

・月周期
 海は月の引力の影響で日々干満を繰り返しています。
多くの海生生物は、満月と新月を中心とした大潮の時期に活性が高くなります。
陸生とはいえ、海岸近くで暮らすオカヤドカリも、やはり大潮には活発に動き回ります。

・年周期
 年間で見ると、自然下での休眠時期を控えた秋は活発に餌を食べますので、動物質を中心にたっぷりと給餌してください。
冬場は保温管理していても、やや活性が低下します。

・年齢による食性の変化
 周期ではありませんが、飼育下での観察によると、個体年齢によって好みが変わるようです。
若齢個体は動物質の餌を好みますが、成長するにつれて植物質に好みが移行します。
また成長に伴って、今まで食べなかった餌を食べるようになることもありますので、食べないからといって与えるのを止めず、時折バリエーションに加えてやると良いでしょう。


〈餌を食べない時は飼育環境を見直す〉
飼っている生き物に餌をやるのは楽しいものです。
金魚やカメなら飼い主の目の前で旺盛な食欲を見せてくれるでしょう。
しかし、オカヤドカリに同じようなリアクションを期待しても、がっかりするだけです。
何度も述べていますが、オカヤドカリは非常に臆病で神経質な陰性の生き物です。
飼育容器の前を人間がうろうろ歩き回るような環境では、自然な生態は見られませんし、餌を食べていても、飼育容器を覗き込んだりすれば、驚いて隠れてしまいます。
オカヤドカリが餌を食べないという質問がよく来ますが、落ち着いて餌を食べることができる環境なのかどうかを、まず見直してください。

〈コラム メダカ池〉

最近のビオトープ(風)・ブームで、庭やベランダに睡蓮鉢やプランターを置いてメダカを飼っておられる方も多いかと思います。
この小さなメダカ池がオカヤドカリ飼育にも意外に役立ちます。
まず、水草です。
オカヤドカリはいろんな植物を食べますので、ときどき間引いて与えてみてください。
我が家ではオモダカやスイレン、ホテイアオイ(ホテイソウ)などを与えていますが、どれもよく食べます。
水底に沈んだ落ち葉や枯れた水草なども水槽に入れておくとつまんでいますし、水面に落ちて溺れ死んだ昆虫なども良い餌になります。
そしてなによりの好物はメダカの死骸。
世代交代して死んだメダカを飼育容器に入れてやると、ほんの小一時間ほどで骨も残さず食べてしまいます。

アクアリウムの雑居水槽と違って、オカヤドカリ飼育はオカヤドカリだけで完結しがちですが、自然界ではオカヤドカリも多くの生き物と関わりを持って暮らしています。
オカヤドカリと他の生き物を一緒に飼う技術は確立されていませんし、現段階ではおすすめしませんが、他の飼育動物や栽培植物、あるいは身近な自然などとのつながりを探してみると、オカヤドカリ飼育の楽しみがさらに広がるのではないでしょうか?


最後に管理人が与えている餌を思いつくまま書き並べておきます。
ご参考まで。

ご飯
パン
うどん
パスタ類
シリアル
焼き魚
煮魚
天麩羅の衣
お好み焼きの切れ端
塩鮭
干物
焼きイカ
卵焼き
ゆで卵
茹で豚
茹で鶏
鶏そぼろ
鶏レバー
牛脂
アサリ
シジミ
エビフライの尻尾
干しえび
クリル
ワカメ
アオサ
サツマイモ
トウモロコシ
レタス
ニンジン
カボチャの煮物
クルミ
リンゴ
ナシ

マンゴーの皮
ブルーベリー
ドライフルーツ
ポテトフライ
ポテトチップス
サッポロポテトベジタブル
かっぱえびせん
ちんすこう
ガジュマルの葉
ハクチョウゲ
朧月
くずの葉
落ち葉いろいろ
スイレンの葉
ホテイアオイ
アナカリス
オモダカ
桜の枝(皮)
ユスラウメの枝(皮)
メダカの死骸
コガネムシ
ハエ
ゴキブリ
バッタ
セミ

チョウ
ダンゴムシ
ワラジムシ
フナムシ
ムカデ
ヤゴの抜け殻
セミの抜け殻

 関連記事
【復刻版 あーまんの話】 配合飼料(餌の話)

※やどかり屋の営利目的による当記事の盗用に強く抗議します!    管理人
 http://yadokariya.jp/html/page30.html


 



オカヤドカリの飼い方
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オカヤドカリの飼い方 【脱皮】

2014-04-06 09:38:13 | オカヤドカリの飼い方

〈基本は何もしないこと〉
オカヤドカリは脱皮を繰り返して成長します。
小型の個体なら年に数回、大型の個体で1~2年に1回程度の周期で脱皮をするのですが、これがかなりの危険を伴う行為で、飼育下でのオカヤドカリの死亡原因はそのほとんどが脱皮時のトラブルによるものです。
無事に脱皮を行わせるための管理方法については、様々な情報が流布されていますが、結論を先に言えば、脱皮管理とは基本的に「何もしない」ことです。

〈環境が大切〉
ナキオカヤドカリ(Coenobita rugosus)やムラサキオカヤドカリ(Coenobita purpureus)と同じオカヤドカリ科のヤシガニ(Birgus latro)は、地面に1メートル以上の深さの巣穴を掘って、その中で脱皮をすることが知られています。
飼育下で脱皮をさせるには、当然この巣穴と同じ湿度が高く温度変化の少ない安定した環境を再現する必要がありますが、それには大変な設備を要します。
ヤシガニが食料資源として養殖を試みられながら、未だ実現には至っていない理由の一つが、脱皮の問題なのです。
ナキオカヤドカリやムラサキオカヤドカリは、ヤシガニに比べると、小型で管理しやすいため、飼育下で脱皮をさせることは充分可能ですが、危険であることには変わりがありません。
脱皮事故を防ぐためには、基本的な飼育環境をきちんと整えて、少しでも危険因子を取り除くことが大切です。
脱皮について考える前に、自らの飼育環境が以下の条件に合致しているかどうか、まず確認してください。

・適正飼育頭数(60cm水槽で5匹以下、45cm水槽で2匹以下)を守る。
・適度に湿らせた砂を15㎝以上敷く。
・飼育容器内を温度25℃前後、砂上の湿度を70%程度に保つ。
・常に新鮮な真水と海水を利用できるようにする。
・餌は安全なものをバランスよく与える。
・飼育容器は静かな場所に置く。
・ハンドリンクは極力避ける。

〈脱皮に適した環境〉
脱皮に適した環境とは、温度変化が少なく暗く湿っていて他の個体の干渉を受けない場所、これらの条件に最も適合するのが、砂中に掘った巣穴の中です。
当ブログで飼育方法を紹介している、ナキオカヤドカリやムラサキオカヤドカリは飼育下においても、砂中の巣穴で脱皮します。
巣穴を掘らずに砂上で脱皮したという話も時々聞きますが、砂上では体表から充分に水分を吸収することができずに、そのまま死んでしまう危険が大きくなります。
また他の個体から干渉を受けやすく、場合によっては共食いという最悪の事態もありえます。
砂上での脱皮を繰り返すようであれば、飼育環境を見直す必要があるでしょう。

〈オカヤドカリ(Coenobita cavipes)は潜らないこともある〉
オカヤドカリ(Coenobita cavipes)を飼育している愛好家の報告では、オカヤドカリ(Coenobita cavipes)の大型個体は砂上で脱皮することが多いようです。
ナキオカヤドカリ(Coenobita rugosus)やムラサキオカヤドカリ(Coenobita purpureus)とは異なり、オカヤドカリ(Coenobita cavipes)は主に内陸部の林などに生息しています。
海外の研究者からは、樹上性が強いという報告もあります。
内陸部は砂地が少なく土壌が硬いことが多い上、熱帯や亜熱帯地方では落ち葉などの分解スピードが速いため、温帯地方のように腐葉土が厚く堆積することもありません。
そのため砂には潜らず、木の洞や岩の隙間などで脱皮をする習性を持つようになったのではないかと思われます。
おそらく、ヤシガニのように必要な水分を体内に蓄えて、脱皮に臨むのではないでしょうか。
当然、内陸性のオカヤドカリ(Coenobita cavipes)と、海岸近くに生息するナキオカヤドカリ(Coenobita rugosus)やムラサキオカヤドカリ(Coenobita purpureus)とでは、飼育環境が異なります。
管理人はオカヤドカリ(Coenobita cavipes)を飼育したことがありませんので、経験に基づいたアドバイスはできませんが、砂上で脱皮をさせるのが前提なら、生体の大きさにあったシェルターを複数設置するか、岩や流木を組んで隙間を作るかして脱皮場所を確保し、干渉によるトラブルを避けるために1匹ずつ飼育するのが良いのではないかと思います。
残念ながら、販売店側の意識の低さからナキオカヤドカリ(Coenobita rugosus)、ムラサキオカヤドカリ(Coenobita purpureus)と、内陸性のオカヤドカリ(Coenobita cavipes)は、店頭ではまったく区別されずに売られているのが現状です。
初心者はまず、自分の飼育しているオカヤドカリの種類を同定してください。
慣れないうちは難しいかもしれませんが、眼柄の形状で見分けるのが、最も簡単で確実です。
ナキオカヤドカリ(Coenobita rugosus)やムラサキオカヤドカリ(Coenobita purpureus)は、先に行くほど太くなるのに対し、オカヤドカリ(Coenobita cavipes)は細くなり、複眼が小さい印象を受けます。


 


ナキオカヤドカリ(Coenobita rugosus)
眼柄は先に行くほど太く広がっている
下部に黒い色素帯が見られる


ムラサキオカヤドカリ(Coenobita purpureus)
形状はナキオカヤドカリと殆ど同じだが色素帯は目立たない


オカヤドカリ(Coenobita cavipes)野生個体
他の2種より眼柄が短く広がりもないので複眼が小さい印象を受ける
第2触角基部のオレンジ色が目立つ


 

〈脱皮の周期〉
前述したように、オカヤドカリは小型の個体で年に数回、老成個体だと年に1回程度の周期で脱皮をしますが、同じ環境で飼育していても、脱皮の間隔は個体によってばらつきがありますので、これはあくまで目安だと考えてください。
飼いはじめたばかりの個体は、環境の変化の影響もあって、比較的短い周期で脱皮をしますが、環境に慣れて落ち着いてくると、脱皮の間隔はだんだん長くなります。
また、オカヤドカリは成長に伴う通常周期の脱皮とは別に、突発的な要因によって脱皮モードに入ることがあります。
例えば、何らかの理由で脚などが欠損した場合、再生させるために脱皮をします。
鋏脚などの大きな部位が欠損し、一度の脱皮では再生できない時は、短期間に脱皮を繰り返します。
また、大きすぎる宿貝に引っ越して、体を合わせるために脱皮を繰り返して、急激に成長するという荒技を繰り出すこともあります。
これらの場合、オカヤドカリの体に通常の脱皮以上の負担が掛かる分、事故の危険も大きくなります。
飼育個体の脚が取れた、あるいはぶかぶかの貝殻に引っ越した時は、カルシウムや蛋白質が豊富な動物質の餌をしっかり与えて、緊急脱皮に備えてください。

〈脱皮の兆候〉
脱皮が近くなると、
・餌を食べなくなる。
・よく水を飲む。
・水浴びをする。
・あちこちの砂を掘り返す。
・砂に潜ったり出たりを繰り返す。
などの行動が見られるようになり、やがて、砂の中に潜り込んでしまいます。
複眼が白くなるという報告もあります。
しばらくは気に入った脱皮場所を見つけるために砂の中を動き回りますので、飼育容器に耳をつけると「ジョリジョリ」という砂を掻く音が聞こえます。
場所が決まると、そこに体の回りに少し空間ができるくらいの巣穴を掘って、安静状態に入ります。
この安静期間中に、古い外殻のカルシウム分を回収しその下に新しい外殻を作り、さらに脱ぎすてるために、新旧の外殻の間に隙間を形成していきます。
この期間は、ほとんど動くことができない上に、体が大きく変化する非常にデリケートな状態にありますので、外部からの刺激は即脱皮不全に繋がります。
安静期は、通常個体が大きくなるほど長くなり、若齢個体で数日のこともありますが、老成個体だと数週間から時には1ヶ月以上に及ぶこともあります。
脱皮直後よりも、むしろ脱皮前の安静期の方が、外部からの刺激には弱くなりますので、できるだけ静かで安定した環境を維持するように心掛けてください。
砂を掘り返すなどは、もってのほかです。


〈隔離の問題点〉
オカヤドカリを複数で飼育していると、脱皮中に他個体の干渉を受けることがあります。
これを防ぐために、脱皮の気配を見せた個体を別の容器に隔離するという方法が、一般に推奨されています。
しかし安易な隔離は、却って生体にダメージを与えてしまう危険があります。
前述したように、オカヤドカリは脱皮が近くなるとあちこちの砂を掘り返したり、潜ったり出たりを繰り返し、完全に潜ったあとも、しばらくは砂の中を移動して、巣穴を掘る場所を探します。
脱皮はオカヤドカリにとっては、命に関わる重大事ですから、慎重に脱皮場所を選ぶのは当然のことで、このような場所探しは、数日から時には数週間に及ぶことがあります。
飼い主が脱皮の兆候に気付くのはこの時です。
この時点で他の容器に移すと、オカヤドカリはまた最初から脱皮場所探しを始めなければなりません。
場合によっては環境の変化にストレスを感じて、脱皮そのものをやめてしまうこともあります。
脱皮前のオカヤドカリは普段にもまして神経質になりますから、隔離するのであれば、脱皮個体はそのままにして、他の個体を別の容器に移さなければなりません。
当然、隔離用容器も小型の簡易容器ではなく、メインの容器と同じセットを用意する必要があります。
一般の飼育者にとって、これは現実的ではないでしょう。
また、良く言われるペットボトルを切ったシェルターを脱皮個体に被せるというのは、あくまで緊急避難であって、通常砂中で脱皮モードに入った個体の場所を正確に把握して、ペットボトルを被せるのは実際問題としては不可能です。
ナキオカヤドカリやムラサキオカヤドカリを複数で飼育するのなら、広さに余裕のある飼育容器に、充分な厚みの砂を敷いた環境で、自然に脱皮をさせる、これが脱皮管理としてはもっとも現実的でしょう。
冒頭に書いた「何もしない」とはそういうことです。


〈脱皮〉
準備が整うといよいよ本番です。
脱皮はまず腹部のやわらかい皮を脱ぐことからはじまります。
その後、胸部から頭部にかけての甲殻をまるでセーターでも脱ぐようにごっそりと前に脱ぎ捨てるのですが、脚はもちろん眼柄や触角までそのままの形で脱ぎますので、脱皮殻はヤドカリそのものの形をしています。
脱皮そのものは、短時間で終了しますが、脱皮中はまったく無防備な状態になりますので、ちょっとした刺激が命取りになります。
繰り返しますが、脱皮モードに入った個体がいるときは、くれぐれも砂を掘り返したり容器を動かしたりしないでください。
無事に脱皮が終わると、新しい外殻が軟らかい間に、体表から水分を吸収して体を膨らませます。
水生の甲殻類は、脱皮前に体液中のイオン濃度を高めて、浸透圧の作用によって体内に水分を取り入れることが知られています。
陸生のオカヤドカリも、同様にして回りの砂の水分を吸収していると考えられますので、体内のイオン濃度を調節できるように海水をいつでも利用できる状態で与える必要があります。
しかし、脱皮床である砂を海水で濡らすのは厳禁です。
砂についた海水は蒸発によって濃縮されます。
脱皮直後に体液よりも塩分濃度の高い海水に触れれば、逆に体内の水分を奪われてしまう危険があります。
水入れの周辺などは、特に塩分が溜まりやすくなりますので、メンテナンスの際に必ず砂を交換するようにしてください。


〈脱皮殻を食べる〉
無事に脱皮を終えたオカヤドカリは、貝殻に閉じこもってじっと動かずに体がかたまるのを待ちます。
この時、ぴったりと蓋ができるように、左側の鋏脚が宿貝の開口部に合った形状になります。
まれに石などが挟まって、鋏脚や歩脚が変形してしまうことがありますが、天敵のいない飼育下では特に問題はありません。
大抵の場合、次回の脱皮で元通りになります。
体がかたまると、抜け殻を食べはじめます。
海生のヤドカリは海水中からカルシウム分を取り入れることができますので、自分の脱いだ脱皮殻を食べる行動は見られませんが(脱ぎ捨ててある他の個体の脱皮殻を食べることはある)、陸生のオカヤドカリにとってカルシウムは貴重な元素ですから、無駄なく再利用するわけです。
通常脱皮から1週間から2週間ほどで、脱皮殻を食べ終えて(かたい鋏脚や歩脚の殻は残すこともある)巣穴から出てきます。

脱皮を終えて無事に地上に出てくればひと安心です。
脱皮後は内組織の充実と体力回復のために、旺盛な食欲を見せますので、カルシウムや蛋白質の豊富な動物性の餌を中心に、日頃良く食べるものを何種類か与えてください。


〈脱皮の期間〉
脱皮のために砂に潜っている期間は、脱皮前の安静期間(数日~1ヵ月)+ 脱皮殻を食べている期間(1週間~2週間)。
小型の個体の場合、1週間程度で出てくることもありますが、大型個体になると脱皮場所探しの期間も含めると、2ヶ月以上かかることも珍しくありません。
飼い主にとっては心配な日々が続きますが、だからといって掘り出して死なせたのでは元も子もありません。
繰り返しますが、脱皮管理とは「何もしない」のが鉄則です。


〈脱皮時のトラブル〉
オカヤドカリにとって脱皮は命がけの行為ですから、失敗のリスクは必ず付きまといます。
たとえば、急激な水分吸収によって体液のイオン濃度が下がり心臓に負担がかかる、何らかの理由で殻が引っかかって脱ぎきれないなどの理由が考えられます。
特に体力の衰えた高齢の個体は、脱皮の失敗で死亡する確率が高くなります。
しかし、飼い主の目の届かない砂底で脱皮を行う以上、トラブルへの対処は不可能です。
飼育環境を整えて、日頃からストレスを与えないように管理し、しっかりと体力を付けて脱皮に臨ませるのが、飼い主にできる唯一の手助けです。

〈複数飼育にはそれなりの覚悟を〉
また、複数飼育をしていると、他個体の干渉による事故は必ず起こります。
「Land hermit crab use odors dead conspecifics to locate shells(Small and Thacker,1994)」によると、オカヤドカリは同種の死臭に強く惹かれる習性があるようです。
これは死んだ同類の宿貝が狙いだと考えられています。
つまりオカヤドカリとは、隙あらば同種の他個体から宿貝を奪おうと常に狙っている生き物だということです。
当然、脱皮モードに入って動きの鈍くなった個体は格好の餌食になります。
脱皮時の他個体からの干渉事故は、たまたま出会ったというよりは、積極的に狙って貝殻を奪取した考えるほうが自然ですし、実際そのような報告も多数ありました。

複数飼育の場合、甚だ消極的ではありますが、
・適正飼育頭数(60cm水槽で5匹以下、45cm水槽で2匹以下)を守る。
・適度に湿らせた珪砂を15㎝以上敷く。
という、基本を守ることが現実的な対応です。

もちろん他個体の干渉による脱皮事故を確実に防ぐには、単体で飼育するのが最良なのはいうまでもありません。
繁殖目的以外で複数飼育をするのは飼い主のエゴにすぎないということを充分自覚してください。

不幸にも、脱皮モードに入って動きが鈍くなった個体が、他の個体に宿貝を奪われ場合、脱皮直前、あるいは脱皮中に襲われたのなら、まず助かりませんから諦めるしかありませんが、脱皮さえ終わっていればたとえ体がかたまっていなくても対応次第で助けることができます。
脱皮中の個体の宿貝を他の個体が着ているのを見つけたら、すぐに対処してください。
まず砂を掘って被害者(?)を探します。
宿貝を奪われたオカヤドカリは当然裸でいるはずですから、傷付けないように素手で慎重に掘って行きます。
ただし、他にも脱皮モードの個体が居るときは、砂を掘るのは考え物です。
この場合、救出するか放置するかは、飼い主自身の判断で決めてください。
運良く生きていれば、体に付いた砂を軽く落としてやります。
この時くれぐれも、つまんだり擦ったりしないでください
ぬるま湯で洗う方法もありますが、ひどく弱っている場合は逆効果になることがありますので、初心者は避けたほうが無難です。
砂が取れたら、適当な容器(プラケや洗面器でよい)に移し、お湯で温めた貝殻を数個入れて、布などを掛けて暗くしておきます。
真夏以外は、くれぐれも保温を忘れないでください。
部屋を充分に暖房して、シートヒーターを蓋代わりに乗せておくと良いでしょう。
体力が残っていれば、これで大抵貝殻に入るはずです。
動けないくらい衰弱していれば、まず助かりません。
一度貝殻に入っても、気に入るまで何度か着替えることがありますので、30分ほど様子を見ます。
落ち着いたら、適当な容器に湿らせた砂を入れ、少し窪みを作ってその中にそっと置いてやります。
この時脱皮殻が残っていれば一緒に入れてやります。
決して無理やり埋めたりしないでください。
後は温度を安定させて、静かに祈るだけです。

また、脱皮を終えて地上に出てきたばかりの個体が、他の個体から攻撃を受けることもあります。
地上に出てくる頃には、体はしっかりとかたまっていますので、普通はそれほど深刻な事態にはなりませんが、あまりにも執拗なら、飼い主の判断でどちらかを隔離してください。
何度も言いますが、隔離用容器の環境はくれぐれもおざなりにならないように留意してください。


〈ユニット方式〉
飼育容器の中に砂を詰めたタッパーやプラケースなどの脱皮床をいくつも入れた「ユニット方式」を採用する飼育家が増えています。
現在ではオカヤドカリ飼育の主流になりつつあると言ってもいいでしょう。
この方法だと、オカヤドカリが脱皮モードに入れば、潜り込んだユニットに蓋をする、あるいはユニットごと取り出して隔離することによって、他個体による干渉事故をかなりの確率で防止することができます。
レイアウトが単調になりますので、生息地の環境をビバリウム的に再現して楽しむには物足りないかも知れませんが、オカヤドカリ飼育における最大のリスクである「脱皮事故」防止のためには非常に効果的な方法だといえるでしょう。
複数飼育を希望される方は、是非実践することをおすすめします。

 〈ストレスなく飼い込むことが大切〉
オカヤドカリは砂に潜り込んで脱皮をすることは説明しましたが、それ以外でも砂に潜ることが良くあります。
特に飼育をはじめたばかりの個体に、このような傾向がよく見られます。
その場合、飼育環境に慣れてくれば、だんだんと砂に潜ることも少なくなるはずです。
もし、2年3年と飼い込んでも、脱皮以外で頻繁に砂に潜るようなら、飼育環境が適切かどうか疑ってみる必要があるでしょう。
温度は適切か?
一日の温度変化は激しくないか?
乾燥しすぎていないか?
飼育個体数は適当か?
まずこの辺りを確認してください。
観察していると、テレビ画面のちらつきや、ひらひらと揺れる洗濯物の影などにも、オカヤドカリは敏感に反応します。
もちろん、飼育容器の前を頻繁に人が行き来するのも良くありません。
不必要に手でつかんだり容器から出したりするのは論外です。
このようなストレス源は、できるだけ取り除くように努力して下さい。
むやみに砂に潜らなくなれば、飼育管理も楽になりますし、脱皮事故の危険も少なくなります。 


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オカヤドカリの飼い方【繁殖】

2014-04-06 09:33:06 | オカヤドカリの飼い方

〈オカヤドカリの一生〉
 夏になると、生息地の浜辺は、放幼にやってきた多くのオカヤドカリたちで賑わいます。
 成熟した卵を抱えたメスは、波打ち際から海に入り幼生(ゾエア)を放ちます。
オカヤドカリの誕生です。
 海中でプランクトンとして育ったゾエアは、5回目の脱皮でグラウコトエに変態して岸をめざします。
 岸近くに戻って来たグラウコトエは、小さな貝殻を背負って上陸し、波打ち際近くのゴミの下などで脱皮して稚ヤドカリになります。
 陸上での暮らしをはじめた仔ヤドカリは2年で成体になり、天敵に捕まったり車に轢かれたりしない限り、10年以上生き続けて毎年夏には海へと幼生を放ちます。
これが、オカヤドカリの一生です。 
 
〈飼育下での繁殖〉
 基本的な飼育条件を整えて、できるだけストレスを与えないようにして飼い込んでやれば、飼育下においても繁殖行動が見られることがあります。
また、オカヤドカリの捕獲時期は繁殖期に重なるため、販売されているオカヤドカリの中には、すでに抱卵しているメス個体が少なからず含まれています。
このような持ち腹の個体を放幼させることも充分可能です。
 海中でプランクトンとして成長する幼生を育てるのはそれなりに手間が掛かりますが、ゾエアからグラウコトエに変態し貝殻を背負って上陸する過程を観察するのは、とても楽しいことです。
ぜひ挑戦してみてください。  
 
〈交接〉
 自然下では5月頃からナキオカヤドカリ(Coenobita rugosus)やムラサキオカヤドカリ(Coenobita purpureus)の抱卵個体が確認されています。
 交接は産卵の直前に行われるので、この時期飼育個体を注意深く観察していれば、交接の様子が見られるかもしれません。
 交接は向かい合って、オスがメスに覆い被さるような体勢で行われます。
この時、オスは第5脚の付け根にある生殖突起を伸ばし、メスの第3脚の付け根の生殖孔の周辺に、白い糊状の精包をくっつけます。
お粥を潰して擦りつけた感じをイメージすれば近いと思います。 


 


 ナキオカヤドカリの交接
カップルはオスのほうがひと回り大きい場合が多い
5月から8月にかけて同種のオスとメスが、このような体勢で絡み合っていたら交接の可能性が高い
 それ以外ならただの喧嘩


一匹のメスに2匹のオスが同時に交接を迫ることもある
放幼直後のメス個体が近付くとオスは興奮気味になる
 フェロモンのような物を出しているのだろうか?


 
〈産卵〉
 精包を受け取ったメスは物陰に隠れて産卵をはじめます。
 生殖孔から生み出された卵は、体外で受精し腹部に付いた小さな脚(腹肢)に、付着させます。
 海生のヤドカリ類の習性に照らし合わせると、受精には水(海水)が必要だと考えるのが妥当ですが、私が観察した限りでは産卵は完全に陸上で行われ、生み出した卵を水に浸している様子は見られませんでした。
オカヤドカリの受精の方法については、今後の研究が待たれます。
 野外での観察から産卵は1シーズンに何度か行われるのではないかと推察されていますが、みーばい亭でも飼育下で2匹のナキオカヤドカリが、それぞれ2回ずつ産卵しましたので、1匹の個体がひと夏に2回以上産卵するのは確かなようです。


  
 
産卵するナキオカヤドカリ
第3脚付け根の生殖孔から産み出した卵を
第4脚と第5脚を使って腹肢へ送っているように見える。
 産卵は断続的に数時間続いた  
 



〈抱卵〉
メスのオカヤドカリは腹部に腹肢と呼ばれる三つの小さな脚を持っています。
 産んだ卵はこの腹肢に付着させて孵化直前まで守ります。
 孵化までには通常1ヶ月程度かかりますが、気温によって多少変動するようです。
 我が家で8月に産卵したケースでは孵化まで約30日でしたが、9月では37日かかりました。
 当初、卵は鮮やかなオレンジ色をしていますが、次第に黒ずんで茶色になり、孵化が近くなると今度は白っぽく変色します。
 白くなった卵を良く観察すると、中に黒い目が確認できることから、孵化直前のこの状態を発眼卵と呼びます。 
 
〈放幼〉
 孵化が近くなると母ヤドカリは落ち着きがなくなり、飼育容器の中をうろうろと歩き回るようになります。
 宿貝から上体を出し入れしたり、いきむような様子が見られたりした時は、すぐに放幼ケースに移します。
しかし実際には、このような放幼の兆候は見逃してしまうことが多いので、卵の発眼を確認した時点で対処する方が確実でしょう。
 放幼ケースはプラケースなどの適当な容器に海水を入れ、石などで陸を作った簡単なセットで充分です。
ただしエアチューブなどを伝って脱走しないように、工夫して下さい。
しっかりと閉まる蓋は絶対に必要です。
 海水は天然海水、人工海水、どちらでも構いませんが、天然海水は採水場所や処理、保存にちょっとしたコツが要りますので、初心者は人工海水を使用したほうが安全です。
 比重は1.023、水温28℃に調整し、軽くエアレーションをしておきます。
 卵の成熟をどうやって知るのかは謎ですが、その時が来ると母ヤドカリはそっと海水に入り、小刻みに宿貝から上体を出し入れします。
その動きに合わせて、水中に幼生が放出されます。

 余談になりますが、管理人は1992年に慶良間諸島近海の海中でサンゴの一斉産卵を観察した事があります。
 雄大な自然の中で無数の命が生み出される様子は、10数年を経た現在でも、全身が痺れるような感覚を伴って思い出される素晴らしい光景でした。
 飼育下においても、子孫を残そうと懸命に体を震わせて放幼するオカヤドカリの姿を見た時は、あのサンゴの産卵と何ら変わらぬ感動を覚えました。
それを自宅に居ながらにして体験できたわけですから、本当に幸せなことです。
オカヤドカリを飼育していて本当に良かったと、心から思った一瞬でした。

 一般に放幼は満月の夜に行われると言われていますが、大潮であれば満月や新月の前後にも多くの放幼個体が見られますし、中潮や小潮の夜に放幼を行うこともあります。
 我が家でも小潮の日に放幼されてしまったことがありますので、飼育下で放幼させる場合、あまり月齢にはとらわれずに、卵の状態を確認して判断するほうが確実です。
また、自然下では普通日没後に放幼しますが、飼育下では日中に放幼することもあるので、この点も注意が必要です。
 自然下では、放幼を終えて戻って来たメスに浜辺で待ち構えていたオスが交接を仕掛ける様子が観察されています。
 飼育下でも放幼を終えたメスを飼育容器に戻すと、すぐにオスが走り寄って来て交接を求めることがあります。
 放幼の直後は、交接の様子を観察する絶好の機会です。 

〈ゾエア〉
無事に放幼に成功すれば、ゾエアをすぐに飼育容器に収容します。
 飼育容器は、プラケースや水槽など、水を入れられるものなら何でもかまいませんが(あたりまえですが金属はダメ)、あまり水量を多くすると管理が大変になるので、大きくても数リットル程度の容量に押さえたほうが良いでしょう。
 飼育ケースには、放幼ケースと同様、比重1.023、水温28℃に調整した海水を入れ、ごく弱くエアーを送って水を対流させます。
ゾエアは泳力が弱いので、くれぐれもエアレーションは強くしないでください。
ポコポコと泡がひと筋出る程度で充分です。
ゾエアは一度に数千匹以上生まれますが、そのままでは過密飼育になるので、水1リットルに対して100匹くらいになるように間引きます。
 間引いたゾエアは必ず飼い主の手で殺してください。
間違っても海に捨てたりしてはいけません。
 飼育している生き物を野外に捨てることは、功徳でもなんでもなく、ただの悪質な自然破壊です。
 余剰個体を自分の手で殺す覚悟のない飼い主は、はじめから繁殖などさせないことです。
 海水魚などを飼育していれば、餌として与えてやると少しは気が楽になるでしょう。
 我が家で飼っているベラやスズメダイは、水槽にゾエアを入れると半狂乱で瞬食してしまいますし、普段はおとなしいイソスジエビも、ガラスに取り付いているゾエアを器用につまみとって、次々と食べてしまいます。
そんな様子を見ていると、飼い主としては少々切ない気持ちになりますが、反面、過酷な淘汰を乗り越えてヤドカリにまで育った野生個体の命の大切さを改めて思い知らされます。
 



ゾエア
回りの細かい生き物は
 ブラインシュリンプのノープリウス 


 

 日常的な管理としては、毎日の換水と餌やりがすべてです。
 換水は一度に半量以上を、水温や水質が急激に変化しないように時間をかけて点滴注入します。
 水温を合わせておけば、ペットボトルなどから直接注いでも大丈夫です。
 底に溜まったゴミや死骸は、水を汚しますので、こまめにスポイトで吸い出してください。
 餌はブラインシュリンプエッグを孵化させたノープリウス幼生を、毎日2~3回に分けて与えます。
ナキオカヤドカリやムラサキオカヤドカリのゾエアは孵化時すでに 2.5mmほどの大きさがありますので、最初からブラインシュリンプで充分です。
ゾエア期は4回の脱皮に伴い1期から5期に分けられますが、識別はサンプル個体を固定して顕微鏡で観察しないと困難ですから、我々一般の愛好家は、少しずつ育って行く幼生を眺めて楽しめばそれで良いと思います。
ゾエアの期間は水温28℃でおおよそ20日くらいです。 

 〈グラウコトエ〉
 ゾエアは5回目の脱皮で、まったく別の生き物かと見紛うほど劇的に変態します。
ゾエア期には体を折り曲げて不器用にしか泳げなかった幼生が、グラウコトエになると第一脚を斜め前方に突き出して、直線的に素早く泳ぐようになります。
また、しっかりとした歩脚で水底を歩きまわり、時には陸にまで上がってくることもあります。
 一足先にグラウコトエに変態した幼生は、その機動性をフルに発揮して、変態前の兄弟たちを襲います。
ビクビクとしか泳げないゾエアたちを、グラウコトエが次々と狩る光景はなかなか凄絶なものです。
グラウコトエには、ゾエアと同様ブラインシュリンプを与えますが、自分と同じくらいの大きさのゾエアを襲うくらいですから、ブラインシュリンプも別容器で3mm程度まで育てたものを与えたほうが効率的に摂食させることができると思います。
また、この頃から、エビ卵、魚肉、藻類、それに配合飼料やクリルなども食べるようになりますので、水を汚さないように注意しながら、少しずつ与えてみてください。
 食べるようであれば、少しずつ生き餌を減らして、切り替えていきます。

 変態して1週間も経つと、グラウコトエはそろそろ貝殻を背負いはじめます。
 我が家で飼育したムラサキオカヤドカリのグラウコトエは、変態後4日目で貝殻に入りましたので、変態を確認した時点で、貝殻を投入しておくほうが安心です。
 水底で貝殻を見つけたグラウコトエは、成体と同じように鋏脚で開口部のサイズを測り、気に入るとすっと飛び込みます。
オカヤドカリを育てていて、ひとつの達成感を感じる瞬間です。
グラウコトエが最初に背負うのは、大体米粒ほどの大きさの貝殻です。
 小さな貝殻を集めるのは大変ですが、こればかりは他の物では代用できませんから、頑張って用意してください。
ポケットビーチを半日も這い回れば、結構な数を集めることができるはずです。
グラウコトエが貝殻に入れば、湿らせた砂の陸地を用意して、上陸に備えます。
 水槽になだらかな砂浜を再現するのがベストですが、小さな飼育容器ならサンゴや石などでスロープを作ってやってもいいでしょう。
 貝殻を背負ってしばらくすると、スロープを登って上陸をはじめます。
エアチューブなどを登ることもあるので、脱走にはくれぐれも注意してください。



クリルに群がるグラウコトエ

 
貝殻を背負いはじめたグラウコトエたち 


上陸するグラウコトエ


エアチューブを登るグラウコトエ
思わず「がんばれ!」と声援を送りたくなるが、くれぐれも脱走には注意すること 


 

〈稚ヤドカリ〉
上陸したグラウコトエは、陸上で脱皮をして稚ヤドカリになりますが、変態するまではけっこうな日数が掛かりますので、その間保温や保湿に留意しながら注意深く管理する必要があります。
 私が飼育した個体では、完全に変態したと確認できるまでに、上陸後20日以上かかりました。
グラウコトエは温度や湿度が低くなるとすぐに死んでしまいますので、高温多湿(30℃前後、80%以上)の環境を与えてやるのが、コツといえるでしょう。
 乾燥を防ぐために濡らした海綿やキッチンペーパーなどをおいてやると効果的です。
 上手く稚ヤドカリに変態させることができれば、あとは成体とほぼ同じ様に飼育することができます。

ただし稚ヤドカリもグラウコトエほどではありませんが乾燥には弱いので、砂は充分に湿らせて、引き続き湿度を高め(80%以上)に管理してください。
 自然下では、打ち上げられたゴミやサンゴ礫の下、石垣の隙間などに隠れていることが多いので、サンゴや石などを組んで、隠れ場所を作ってやると良く利用します。
 体が小さくちょっとした隙間からでも脱走しますので、くれぐれも蓋は厳重にしてください。
 餌はエビや魚肉などの動物質を中心に、ニンジンやサツマイモなどの野菜を小さく切って与えると良いでしょう。
 仔ヤドカリの成長は早く、個体にもよりますが、翌春には前甲長3~4㎜ほどの立派なオカヤドカリになりますので、宿貝は早めに用意してやってください。 




 稚ヤドカリ 


 

 〈オカヤドカリを繁殖させるということ〉
 オカヤドカリの人工繁殖については資料が少なく手探りからのスタートでしたが、結果的にはごく簡単な器材でそれなりに育てることができました。
ここに記した基本的な条件を整えてやれば、ゾエア幼生を成体まで育て上げることは充分可能なはずです。
 特にアクアリウムの知識や経験を持った飼い主にとっては、それほど難しいことではないでしょう。

 日本国内に生息するオカヤドカリ類は、北限の個体群であり、中でもムラサキオカヤドカリは固有種であると考えられています。
このような貴重な生き物であるにも関わらず、毎年何トンもの個体が捕獲され、ペット用に流通しています。
もちろん、オカヤドカリを飼育すること自体は、健全な趣味であり何ら非難される行為ではありませんが、ひと夏だけのインテリアとして保温もせずに死なせたり、悪趣味なペイント貝を着せた玩具として扱ったりする人間が、少なからず存在するのも事実です。
 天然記念物にも指定されている貴重な生き物であるオカヤドカリが、心無い人間たちの手で無駄に浪費されるのは、本当に悲しいことです。
オカヤドカリの繁殖させるということは、もちろんペット用として流通する個体を養殖個体で賄うことによって、自然に与えるダメージを軽減することにも繋がりますが、それ以前にそれぞれの飼い主が、手元で飼育している個体一匹一匹を大切にする心を育むことになるのではないかと思います。
 販売業者などのサイトでは、オカヤドカリの人工繁殖は無理だと、はなから決め付けるような記述が見られますが、それは嘘です。
 現に我が家では、100均のタッパーと数百円のエアポンプといったありあわせの器材で、毎年貝殻を背負って上陸するまで育てています。
 充分な知識を持つ飼育家が、きちんとした設備を整えて真剣に取り組めば、もっと効率的な繁殖技術はおのずと確立されていくことと思います。
 乱獲と共に、生息地の無秩序な開発によって、オカヤドカリは日々その数を減らしています。
 天然個体の捕獲が全面的に禁止されるのも、そう遠い先ではないでしょう。
オカヤドカリは飼育の難しい生き物ですが、その分飼育動物として大きな魅力を持っています。
 現状で捕獲が禁止されれば、せっかくここまで育ってきたオカヤドカリの飼育文化が消えてしまうことは必至です。
そうならないためにも、多くの飼い主が繁殖に取り組み、少しでも早くオカヤドカリの人工繁殖技術が確立されることを願ってやみません。

※最新の繁殖情報はこちら
みーばい亭のヤドカリ話 No.33 オカヤドカリの繁殖2008

みーばい亭のヤドカリ話 No.37 オカヤドカリの繁殖2009 繁殖のツボ


みーばい亭のヤドカリ話 No.41 オカヤドカリの繁殖2010 大上陸への道


オカヤドカリの飼い方
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