そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

「イラク戦争が産んだ怪物」という報告

2015-02-03 | イラク
今日(2月3日)の北海道新聞に、ジャーナリストの志波玲氏が、イスラム国邦人人質事件に投稿している。「イラク戦争が産んだ怪物」として、イスラム国の本態を明快に解説している。本文はコピーできないので、ほぼ同じことをサイトに書いているので参照願いたい。
志波氏は同業者の後藤氏の死を、「ただただ残念である」と述べ、イスラム国の出自に明快な視点を示している。
アメリカのイラク戦争が産んだモンスターであると断じている。昨日も本ブログで書いたが、ほとんど無差別にアメリカ軍はイラク人を拘束し殺害し投獄し、拷問まで加えた。イスラムの人は、敬虔なイスラム教徒でなくても、忌み嫌うことははっきりしている。性的な侮辱や。肌を晒すことや、犬に吠えられることや、水に浸けられることなどたくさんある。刑務所では、それらのあらゆることを、アメリカは繰り返し行った。一部は暴露されて問題になったが、グアンタナモではいまだに行われている。
ここで彼らの憎悪は培われた。イラクの政権を担ったスンニー派は、シーア派に対して殺戮と同類の汚辱を繰り返した。イスラム国の残忍な殺戮行為は、この時のアメリカやイラク政府の行為に対する報復ともいえる。
アメリカは大量破壊兵器があると虚偽の事実に基づき、イラクに侵攻した。国連をはじめとする世界各国が反対する中、イギリスと競うように早々とアメリカの支援を小泉は打ち出した。
アメリカもイギリスもその後アメリカを支援することになった国々は、この誤った戦争を検証し反省している。唯一日本だけが、検証すら行っていない。
日本政府はアメリカ追従の政策を見直し、ましてや集団的自衛権などというような、新たな参戦理由などを掲げることは、日本の立場を危うくする。すでにそうなっているが、こうした行為そのものが積極的平和主義なのであろう。極めて危険である。
日本政府はここぞとばかり、テロ対策として膨大な予算を組み、怯える国民に応える形で監視制度の強化を打ち出している。
志波氏の訴えるように、民族的融和と宗派対立をなくすことこそ、ほとんど唯一の解決方法であることを、軍事化を目指す日本の為政者は気が付かない。
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「テロにはくっしない」というドグマは新たな暴力を産む

2015-02-02 | イスラム
今回の、イスラム国による邦人二名殺害事件で、日本はどのように交渉したのか明らかにされていない。菅官房長官は、「イスラム国と全く接触がなかった」と、空々しく記者の質問に答えている。
後藤氏の奥さんは、昨年から何度もメールの交換をやっている。政府は今頃になって、昨年二人がそれぞれ拘束された時期から、情報収集などを継続していたと発言するようになった。この間にも、後藤夫人は金額の請求を受けている。それなのに日本は全く交渉していないというのか?
これらのことを総合的に考えると、政府は、人命尊重という表の言葉とは裏腹に、交渉を拒否するか金額を値切っていたように思われる。多分前者であろうが、米英に追従した形である。
何よりも、ここで問題が大きくなれば、海外の武力行使への道が開く口実が出来る。かなり強引な理屈であるが、憲法を勝手に解釈する男ならこのくらいのことは何ということない。

安倍首相の、テロリストには償いをさせるとか、法の裁きを受けさせるとか、およそ一国の首相の言葉とは思えない低レベルの発言である。この言葉の裏には、報復してやるという、幼い感情的な意思だけしか見えてこない。イラクに攻め入ったブッシュのようである。
償いなら誰がどのようにやるのか、法の裁きならどこの国の法で誰がやっるのかもない。そのブッシュがイラクに侵攻して、拘束した反米人間たちの中に、イスラム国の”建国宣言”をしたしたバクダディがいた。彼は二度も拘束されたが、その度にイスラムの純化をし、刑務所内に同志を増やしていった。
当初アルカイダの分派であった集団は、イラク第二の都市モスールを、わずか数百人で制圧しその戦闘能力の高さと、残忍性が周辺諸国を圧倒していくことになる。
バグダディは自らをカリフと称し、昨年6月イスラム国の建国を宣言した。僅か8か月前のことである。
フセイン政権下では、負の相互関係がバランスを保って何も起きなかったが、ブッシュがそれらを根底から破壊してしまった。因みに、パパブッシュはクエートからイラクに侵攻することをためらったのは、こうしたことを見て取ったからである。
結果として、イラクをはじめとする中東の歴史的な力のバランスを、アメリカは破壊して今日の混乱を産んでしまったのである。イスラム国もそうした経過で生まれた、極度の暴力恐怖集団である。
アメリカは、イスラム国を壊滅させることを宣言している。無理である。暴力的に壊滅させても、世界中にテロが拡散するだけである。人や殺し武器を取り上げても、世界中に散らばるだけである。テロの本質は、彼らの頭の中にあるからである。

「テロにはくっしない」という言葉も、アメリカの行為そのものがテロ行為である以上、彼らを暴力的に対抗するという意味しか持つことはない。後藤さんのお母さんも奥さんも、彼を支えた多くの友人やジャーナリストたちも、今回のことが暴力の連鎖に繋がらないように訴えている。それは、安倍政権に向けられた言葉でもあるが、日本の軍事化を目指す安倍首相には見えてはいない。
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この悲しい出来事に思うこと

2015-02-01 | イスラム
イスラム国(ISIS)に拘束されていた、ジャーナリストの後藤健二さんが殺害された。とても哀しい出来事である。このテロリスト集団は、このところの戦闘の劣勢などで、人的不足と資金減にも落ちいっている。こうした集団が暴走する極めて危険な状況にあると言える。
結局日本政府は、イスラム国の人質に対する対応は、アメリカとイギリスに準じていたのではないかと思われる。一切の交渉を拒否したいたのであろう。昨年の10月ごろには既に身代金を政府は要求されていたという情報もある。
安倍首相は余りにも不用意に、中東に出向いてまで「イスラム国と戦う国を支援する」と発表し、彼らを刺激した。余りにも不用意な発言と言える。後藤氏の殺害のビデオも、日本政府へのメッセージとなっている。このビデオは、世界中にイスラム国を支持するか共感するグループや個人にも向けられている。日本人は今後もテロの対象になるという言葉は広がりを持ち、世界の日本人に危険を広げたことにもなる。
安倍首相は、「極悪非道のテロは許さないと」と表明したが、これに加えて、「テロリストの代償をとらせる」と言い切った。こうしたことが、武力によって解決できないことが、この10年ほどの中東の歴史が語っている。安倍首相の報復ともとらえる発言には失望した。
今回ヨルダンに交換人質として要求された女性も、家族全員がアメリカに殺害された恨みを根底に持っている。憎悪の広がりは際限なく広がる。
本来であれば日本はこうした場面で、非暴力的な交渉が出来る立場であるはずである。歴史的にも地理的にも宗教的にも、そして憲法上からも日本は他国と明らかの異なる立場が採れたはずであるが、歴代の日本政府はこれを放棄してきた。
後藤氏などもこうした非暴力的、人道的な立場から取材を続けてきた。パキスタンで、長年民間の人道支援を行っているペシャワール会の中村哲氏は、我々の活動が支援されるのは日本には憲法9条があるからと発言している。
私たちはもう一度冷静になって、この後藤氏の悲しい出来事を見直すべきなのである。
コメント (2)
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