そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

ゴルバチョフを理解できなかったロシアの不幸

2022-09-01 | プーチン

ソ連最後の指導者だったミハイル・ゴルバチョフ元大統領が、8月30日モスクワで死去した。91歳だった。
ゴルバチョフは西側では冷戦を終わらせたと政治家と前向きに評価されるが、ロシア地域ではソビエト連邦を崩壊さ経済を最悪にした人物として悪評に包まれている。下野した後に大統領選挙に出てはみたが、1%に満たない得票であった。
ゴルバチョフは異例の若さで共産党書記長に就くと行き詰まる体制の打開に、ペレストロイカ(情報公開)とグラシノチス(情報公開)を打ち出し、社会主義体制下の計画経済の否定につながるも言える政策を打ち出した。
どこの国営農場(コルフォーズ)でも毎年上げる報告は豊作である。計画を上回る収穫しか報告に上がっては来ない。それらは国に積み上げられた数字と突合することないのである。
部署の管理責任者の共産党員が、実績を落とさないため、出世のために虚偽の報告書を上げる自己保全の結果である。やがて彼らが出世して報告について内実を知りながら、作られた”豊作”を受け入れる。こうした積み上げで国が衰退していくのである。ゴルバチョフはこれに激怒し、ペレストロイカを打ち出した。
グラスノチスはチェルノが、数日間の隠ぺい後に西側から知らされ、届く情報の貧相さからゴルバチョフが、打ち出したものである。
そして、膠着していたアフガニスタン侵略であるが、情報を公開することでさっさとゴルバチョフは兵士を引き上げさせた。この二つの対外的にも見える、ゴルバチョフの対応でソ連は崩壊した。情報を公開せず旧態とした体制維持を支えていたのが、KGB(ソ連安全保障委員会)である。国家権力のトップが書記長であることでも見られるように、ソ連は情報管理あるいは情報操作をすることで国家体制を築き維持した国家である。民主主義の原則である情報公開などは、体制としてはロシア人は受け入れることができなかったのであろう。
やがてKGB出身のプーチンが政権の座に就く。プーチンは石油や天然ガスを国有化し、裏社会や特権階級を作り上げ経済を立て直す。
結局は、ロシアは情報は権力が握り、特権階級に利権を与え、都会が潤い地方を疲弊させる体制を作り上げた。これはかなスケールは比較にならないほど小さいが、安倍晋三がやってきたこととほぼ重ねることができる。
プーチンはペレストロイカ(情報公開)とグラシノチス(情報公開)を否定することで、スターリンを越えようとする長期政権を維持するのである。
二年前にゴルバチョフは、プーチンの作り上げた現体制を憂いていた。今年のウクライナ侵略にも異を唱えていた。
ノーベル平和賞も西側の評価であり、ロシアはゴルバチョフを理解できなかったのである。人権も平和もプーチンは無縁のものででしかなかった。
コメント (8)
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