ソ連最後の指導者だったミハイル・ゴルバチョフ元大統領が、8月30日モスクワで死去した。91歳だった。
ゴルバチョフは西側では冷戦を終わらせたと政治家と前向きに評価されるが、ロシア地域ではソビエト連邦を崩壊さ経済を最悪にした人物として悪評に包まれている。下野した後に大統領選挙に出てはみたが、1%に満たない得票であった。
ゴルバチョフは異例の若さで共産党書記長に就くと行き詰まる体制の打開に、ペレストロイカ(情報公開)とグラシノチス(情報公開)を打ち出し、社会主義体制下の計画経済の否定につながるも言える政策を打ち出した。
どこの国営農場(コルフォーズ)でも毎年上げる報告は豊作である。計画を上回る収穫しか報告に上がっては来ない。それらは国に積み上げられた数字と突合することないのである。
部署の管理責任者の共産党員が、実績を落とさないため、出世のために虚偽の報告書を上げる自己保全の結果である。やがて彼らが出世して報告について内実を知りながら、作られた”豊作”を受け入れる。こうした積み上げで国が衰退していくのである。ゴルバチョフはこれに激怒し、ペレストロイカを打ち出した。
グラスノチスはチェルノが、数日間の隠ぺい後に西側から知らされ、届く情報の貧相さからゴルバチョフが、打ち出したものである。
そして、膠着していたアフガニスタン侵略であるが、情報を公開することでさっさとゴルバチョフは兵士を引き上げさせた。この二つの対外的にも見える、ゴルバチョフの対応でソ連は崩壊した。情報を公開せず旧態とした体制維持を支えていたのが、KGB(ソ連安全保障委員会)である。国家権力のトップが書記長であることでも見られるように、ソ連は情報管理あるいは情報操作をすることで国家体制を築き維持した国家である。民主主義の原則である情報公開などは、体制としてはロシア人は受け入れることができなかったのであろう。
やがてKGB出身のプーチンが政権の座に就く。プーチンは石油や天然ガスを国有化し、裏社会や特権階級を作り上げ経済を立て直す。
結局は、ロシアは情報は権力が握り、特権階級に利権を与え、都会が潤い地方を疲弊させる体制を作り上げた。これはかなスケールは比較にならないほど小さいが、安倍晋三がやってきたこととほぼ重ねることができる。
プーチンはペレストロイカ(情報公開)とグラシノチス(情報公開)を否定することで、スターリンを越えようとする長期政権を維持するのである。
二年前にゴルバチョフは、プーチンの作り上げた現体制を憂いていた。今年のウクライナ侵略にも異を唱えていた。
ノーベル平和賞も西側の評価であり、ロシアはゴルバチョフを理解できなかったのである。人権も平和もプーチンは無縁のものででしかなかった。
ゴルバチョフはソビエト時代の特権階級ノーメンンクラツーラを排除しましたよ。
エリチンは何もしてません。天然資源開発が大きなきっかけと思いますが、プーチンが利権を与えることで、彼らは巨大化したのです。国家が管理し、まるで税金のように利権を得たのが、大きい。
中國共産党が、新しい長城を作ろうと再軍備を歌って政権獲得したようにプーチンも再軍備を進めました。
阿片戦争後の清は欧州各国が侵略、文化財を略奪し、利権を欲しいままにした社会があったからでしょう。清朝の責任とはとても思えません。
翻ってロシアはソ連崩壊後は社会体制が大きく変わったことで、ロシア自身の問題でしょう。ソビエトが情報を隠ぺいし特定階級に富を集めたその反動ですよ。
ゴルバチョフはそれを乗り越えられませんでしたが、プーチンはソビエト時代のように、利権を特定階級に集め情報を隠ぺいし権力を集中し、経済復興したのです。ソビエト時代のように。
ゴルバチョフのように民主化も情報開示もプーチンはしなかったのです。
今はプーチンが流行しているが、プーチンはどこまでいってもロシアの一部である。
プーチンはゴルバチョフをどう考えているだろうかと言うのであれば、ゴルバチョフはソビエト共産党の書記長であった、それで十分だろう。
私にはゴルバチョフとプーチンは同じ人物だ。
彼らが話すロシアに共通した特徴がある。
それはロシアを支えてきたロシア人に対する愛情である。
惜しむらくはそのロシア人の中にアジア系ロシア人の話が少ないが、いずれ出てくだろうと信じている。
たとえ多少の貧困社会であっても、お互いに共有できる、格差のない社会を目指すべきと考えます。
プーチンはこれらを全否定し、国全体の成長があれば良いと言われるのでしょうが、それでは人権も自由な発言もなくなる、つまり民主主義社会ではなくなります。
私は多少の問題があっても、自由で平等で民主的である社会を目指すべきと考えています。経済成長ばかりを政治に指標にしたいのであれば、専制国家つまりプーチン君主の社会や習近平にひれ伏す社会の方が、経済発展は望めるでしょうね。
私はローレライさんの意見に反対致します。西欧諸国にもいくつも問題はありますが、情報は開示され人権は守られるきっかけはどこかに必ずあります。