生物界では種が大きく変化を遂げるのは何らかの困難に直面した時で、それに応じることで種は進化し克服してきた。この跳ね返す力はレジリエンス(Resilience:弾性・回復力・前へと押し出す力)と呼ばれている。圧倒的な種はこの困難を乗り越えることができず絶滅してしまったが、レジリエンスとして跳ね返し進化した種のみが、命を繋いできたのである。
現在人類は72億人もいながら、成長を至上命題とする資本主義という困難で破たんのシステム、レジリエンスに直面している。
ほんの70年前に始まった、資本主義国も社会主義国も刑事発展を勝利の指標として競い合い、地球資源漁りつくし環境に負荷をかけてきた。社会主義国は破たんすることで乗り切ったが、資本主義は経済活動での自由と欺瞞んで塗色された民主主義で逃げている。そして社会主義国は見よう見真似の資本主義国になる。
これまで資本主義が直面してきたいくつかの危機は戦争と恐慌であるが、現在はそれらと全く異なる困難の中にある。地球環境問題とパンデミックであるが、それらは資本主義そのものが吐きだした矛盾・困難である以上、資本主義体制は解決策を持たない。
SDGsやグリーンディールは、地球環境の危機の概要を一般に知らせる効用はあるが、解決策としては程遠く活動家や協賛者たちに免罪符を与えるに過ぎない。環境に配慮して成長しようというのである。
働くことが嫌いで贅沢が大好きな人物たちが経済を握っている。金融資本主義である。あるいは中国のような国家資本主義が世界を動かす。
行政から不労所得を望む賛同者に囲まれ、名誉職への欲望の鎧を着た政治家たちが議会の席を占めている。長期的視点を持つことのないポピュリズムが、政治の質を低下させる。
政治を相も変わらず、政治を政治家を模擬か左かに区分しなければ理解できない人たち。民主主義を装うこれ等の現象は、長期的視点を持つことがない。
民主主義はシステムではない。民主主義は何より透明性が問われるが、不都合な事実を権力者は隠匿するし改ざんする。虚言で粉飾する。
政治家たちは自己主張するばかりで、新たな活路を拓く能力がない。弁証法を嫌い細かな欠点ばかりを突き合う論争しかできない。
気候変動問題は最早引き戻すことなどできなず、進行速度を緩慢にするだけしか方策がない危険水域を幾度も超えてしまっている。
脱成長を命題にするような社会体制に変革しなければ今を乗り越えることなっできるわけもない。それこそが人類が示すことができるレジリエンスである。