
国鉄の民営化は、50万を超えた国労の組合員対策、政治判断であった。中曽根内閣が国鉄を民営化させるだけでなく、分社化を進めた意味がそこにある。上の宣伝文は自民党が日本の新聞各紙に掲載した、ふんだんに嘘を羅列したコマーシャルである。
ブルートレインはなくなりましたし、何よりもローカル線を次々と切り捨てている。全国一律などなっていない。トップに掲げた「国鉄が・・・あなたの鉄道になります」という騙しのコピーは、今となっては笑う以外にない。民営化はともかくとして、国労を失くすために分社化が行われ、国労の幹部職員が再雇用されないという陰湿な闘争がその延々と続くのである。
JR東海、JR東日本、JR西日本は順調に黒字を重ね、九州も頑張っている。四国と北海道の島組が赤字経営である。特に北海道の経営は悲惨である。これまでほぼ半分の距離にもなる、1142キロを廃線にしている。この他に線路やトンネルや橋まで作ったがレールが敷かれるこのなかった、超ローカル線がかなりある。
JRの分社化で地方が切り捨てられた形になっている。JR北海道はこの間、13000人の職員を7000人まで減らした。15年間ベースアップを抑えられている。この30年で4500億円の減収があり、国の追加支援も4200億円減らされている。全路線の4割を廃線にした。しかしながら、こうした企業努力に加えて、事業の本質を放棄したとしか思えない姿勢が引き起こした事件、事故が度重なる。列車火災や数多くの車両やレールのトラブル、杜撰な点検と放棄、データーのねつ造などである。どうやら民営化以降恒常的に行われていたようである。目先の営利だけを求めた結果と言える。
先月JR北海道は、単独で全線の維持は難しく、4割ほどを廃線を検討していると表明した。そして、下になるレールの維持管理を自治体に任せるとする、上下分離方式などを検討してくれと地方に匙を投げ返している。
航空会社の場合は、便こそ少ないが地方空港まで運営している。最近ドル箱だけに限って運営する、格安会社の出現は、こうした航空会社の経営を圧迫する。このような良いとこ取りと全く同じなのが、JR本州グループである。人口が多く物流も盛んなところが潤うのは当然である。野放しで営利事業奨励を追及してきたのが、中曽根自民党が国民を騙して強行した、国鉄の分社民営化の本質である。
地域格差も、貧富の格差も全く同じ構図である。潤う地域や人たちや企業が、地方や貧困層を騙す構図は、現在に至る安倍政権まで、連綿と続いているのである。