環境学者でもある嘉田由紀子滋賀県知事が、新党を立ち上げた。日本未来の党と呼ぶようである。浮遊する小沢一郎一派の受け皿とみてよかろう。自らが黒幕になる手法は同じであとはいえ、小沢もずいぶん変わったものである。
これは一つの流れとみてよいだろう。しかし、脱原発や反TPPや消費税反対のネガティブ路線だけでは、およそ政権を担う政党とは言えまい。政治的な明確な軸を持つべきである。
それらを包括する軸として、護憲を掲げるべきである。例えば消費税にしても結局は格差社会と呼ばれる、貧困層を経済活動が生み出しているのである。憲法25条の掲げる、健康で文化的な最低限の生活を営む権利は、生活保護制度の根拠ばかりに陽が当たるが、新自由主義の競争社会の諫めでもある。消費税増税は、こうした低収入の人たちをさらに差別することになるのである。
原発事故についても同じことが言える。いや、それ以前に放射性廃棄物処理を検討することなく、隠れ核兵器ともいえる原発を導入すること自体が、憲法9条ばかりか、第3章の国民の権利を蹂躙するものである。
多く国家間の紛争の原因は、経済的問題である。もちろん領土や宗教対立や民族対立も少なくはないが、経済問題は意図的に生じるものである。時の権力者が制御可能な行為なのである。この極端な例が、関税撤廃を目指す、TPPである。
何よりも、自民党総裁と日本維新の会の代表が共に、強烈な改憲論者である。彼らはひょっとすれば、第1党と第2党になる可能性がある。第2党に民主党がなったとしても、橋下は安倍信三に党首の打診をはているほどである。1、3党が連携する可能性すらある。その背景にあるのが、改憲である。
原発やTPPや消費税ばかりが論じられているが、石原のようにあるいは安倍のように、本音は改憲と軍事大国が目的である。軍事増強が国力をあげると、虚論を未だ掲げる。二人とも核武装論者でもある。隠れ核兵器となる原発を、廃炉できるわけがない。
そもそも、対米従属は憲法の前文の掲げる、崇高な理念を踏まえていない。一昨日も引用したが、「いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、(中略)自国の主権を維持し、他国との対等関係に立とうとする責務であると信じる」とある。
日米に限らずの対等な関係こそ、それぞれの国の主権を認めることである。新自由主義に基づく、競争を促すようなグローバル化は、それを犯すことになる。それが無関税化の、TPPの本質なのである。
原発や消費税やTPPの反対ばかりではなく、嘉田新党が”護憲”政党として、日本国憲法を高く掲げ、不要な夾雑物を排除するべきである。