オバマが思った以上の大差で勝利した。民主党が勝った理由は、貧困層の拡大である。前大統領のブッシュを支援者に扱わなかった共和党と、元大統領のクリントンの応援をもらった民主党の差でもある。
次の週には中国の指導者選出のセレモニーが始まった。中国共産党第18回大会である。共産党独裁国家の指導者選びは、8260万人の党員から選出される。
馬鹿陽気なアメリカの大統領選挙もどうかと思うが、中国は全く密閉された中での出来レースで総書記を選ぶ。共産党のトップは、スターリンが情報を統制して成功してから、事務方のトップがその肩書を外さない。これは日本を含めた、多くの世界の共産党の特徴である。中国も同じである。
今年の共産党大会で驚いたのが、前総書記の江沢民が中央に居座っていたことである。胡錦濤は結局は、江沢民の呪縛から抜け出せなかったのである。
胡錦濤は、GDPを2020年には2010年の倍にし貧富の格差を改善すると、次期総書記の習金平に足枷をはめた。
中国が世界第2位の経済大国になって、やらなければならないことが数多くある。いつまでも途上国と嘯(うそぶ)くことを止め、社会主義体制であるなどとの欺瞞の看板を下げることである。そして何よりも、世界の中国としての指導力を発揮し、温暖化や金融体制などにも貢献し、国益を最重点に掲げる対策を止めるべきである。
国内的には、貧富の格差の原因と対策を具体的に取り組むべきである。実質社会しぃぎ体制を放棄したのであるから、富の分配を税制で成し遂げるべきである。そのために、共産党員に手厚い優遇体制を見直すべきである。党員の情報開示も全くない。近代国家へと歩むためには、こうした陰湿な密閉体制で主導者を選出するべきではない。
温家宝の蓄財が取りざたされている。多分氷山のほんの一角であろう。共産党内で上位に進出することが、成功への絶対条件になっている。政治と経済が密着して
いるからであるが、汚職の温床がここにある。
アメリカの大統領選挙のように、ポピュリズムに陥り易い問題はあるが、公開での討論は評価されていいと思われる。政策も人間も磨かれ、国民はそれを確認できるからである。
中国にはそうした機会が、主導者にも国民にもない。一党独裁の最大の問題は、自浄能力、体制がないことである。問題が起きると、その車両を埋却することでその場を乗り切るだけで、問題の解決にはならないのである。
習金平体制になると、いずれの時には必ず経済成長が落ちる。多くの不満や矛盾を、経済成長がかき消してきたこれまでの経緯がある。習体制の中で、それらの矛盾が噴出することになるが、その時に習と国民がどういう選択をするか見ものである。