今や世界最大の企業となった、ロシアのガスプロム社。40万人の職員を抱える、天然ガス供給会社であるが、大手銀行や航空会社にテレビ局に食肉業まで手を出している。元々はソビエトの国営会社である。
世界の天然ガス供給の25%を扱っている。2位から10位ほどまでの合計でも、10%に満たないことを見ても、図抜けて巨大であることが判る。社長がかつてのメドベージェフ大統領であったことをみても、政治力の大きさを見て取れる。
ロシアの天然ガスは、ヨーロッパに、パイプラインで多く送られている。シベリアには、12本ものパイプラインがあり、ほとんどすべてがヨーロッパに送られている。ガスプロムが持つパイプラインの総延長は16万キロにもなる。地球を4周もする長である。
EUの40%、旧東欧諸国はほぼ100%ロシアの天然ガスに依存している。しかもこれらのパイプラインは、ほぼすべてロシア経由である。ちょっといちゃもん付けた、ウクライナがロシアから天然ガスの供給を止められ、混乱した。今回の大統領選挙では、ヨーロッパ寄りの女性候補者を、刑務所に掘り込んでまでのロシア寄りの大統領を誕生させている。
これを嫌ったUE諸国のバックで、アメリカがアゼルバイジャンからトルコ経由のパイプラインを建設に資金援助した。当初は、2011年に全面開通するはずであった。現在は、2013年に工事を始めるとのことである。ナブッコパイプラインである。
トルコ、ルーマニア、ブルガリア、ハンガリーそれにオーストリアの5カ国が調印している。先ごろ大きなガス埋蔵が確認された、肝心のアゼルバイジャンが調印していない。ロシアの画策である。アゼルバイジャンはこれまでの、倍の価格を打ち出したロシアと天秤にかけているのである。ロシア、ガスプロムの思惑通りである。
先ごろリトアニアで、脱原発の国民投票が過半数以上で通った。リトアニアが原発を作らないとなると、ほとんどの電気を供給しているロシアは大喜びである。当分この間、この国はロシアの言いなりである。
ロシアがソビエト崩壊後復興した大きな要因に、天然資源がある。とりわけ天然ガスの稼いだ外貨の働きは大きい。しかし、巨大な資本はさらに巨大になり、国家を動かすばかりではなく、近隣国家をも従属させ富を蓄えているのである。
プーチンが権力者に居座り続ける限り、こうした強権国家の暴走は止まるとことがないだろう。そのロシアは、中国との関係が悪化している日本に秋波を送っている。こんな頼りない政権で対応できるのか。 怖ロシア!