何時か何かこの類の事件というか、諍いを必ず起こすと思っていた田中真紀子である。新たな大学申請の3例を、唐突に不認可にしたのである。
どれもが、短大化専門学校で4年制大学の申請を、真紀子さまのご乱心で不認可としたのである。申請側は、多分長年の仕来り通りに、いやとなるほどの書類を作成して、申請したのであろう。
これまで根回しが済んだ申請を、不認可にした例はない。恒例に従っての申請であるから、相当不満はあるに違いない。3大学は訴訟に持ち込むらしい。裁判になると、大臣側は相当不利である。不認可理由が明確ではないからである。
大臣側は、新たな審議会を設けて再検討すると、譲歩にもならない動きを見せている。
しかし、総論的ではあるが、あまりにも大学の質が低下している原因の一つに、乱立がある。少子化に向かいながらの乱立である。質の低下は否めない。学生たちは、勉強したいというだけで大学に入れて、資格や肩書を得るのである。真紀子さまの言い分は、正論である。考え方としては正しいのではないか。
審議委員も、29名中22名が大学関係者であるところから、申請許可に前のめりになるのは当然である。新たな審議方針の決定、委員会の設置と言っても、数か月でできるはずがない。問題があるなら、相当な時間を設けなければ、新たな基準方針などできるはずがない。
大学入学を目指していた生徒たちが、救済される目処などない。既に建物まで建設し、人材確保まで行った大学側は憤懣やるかたないだろう。
要するに、真紀子さまの言い分に正当性があったとしても、何らの根回しもせず余りにも唐突な決定である。新たな審査基準にしても、何の準備もなく総論を述べるだけである。
これまで民主党が、政権交代以後何度もこうした根回しもなく、総論で対抗してきたことの象徴的事件である。官僚に個別の論議で、総論が論破され元の木阿弥になるのが、この3年余り何度も繰り返された民主党政権の無様な姿である。
民主党には学習能力がない。自民党など野党は、政争の火種になると意気込んでいる。ことの本質、大学のありようなど論議されることがなく、不毛な国民不在の政治が延々と続くのである。