韓国側の計算によると、北朝鮮のミサイル製造にかかわる費用は、テポドン2号機発射でおおむね6億ドルかかっている。これをコメのキロ50円ほどの国際相場に換算すると、141万トンになる。これは、北朝鮮のおおむね600万人の飢餓を救うためのコメの量、70万トンの2年分に相当する。
飢えてまで、強制大国を建設するのだという、国家としてのメンツを地で行くものではある。国民を飢えさせてまでも、核やミサイルを製造するというのである。金体制の維持しか、この国の存続に意義を見出さない国家体制を、社会主義国家と呼ぶことができるのだろうか?
北朝鮮の最大の問題は、飢える国民である。国家がどのような体制を保とうと、あるいは国益を追求しようと、すべては国民のためになるはずという前提があってこそ容認される。
北朝鮮にはそれがなく、為政者みずからとそれを取り巻き、権力の暴力に恐れる人たちの保身しか、前提にない。
情報を極端に制限された人たちには、選択肢を模索する手段も知識も持たせない。極めて不条理な政治体制といえる。
北朝鮮の持つ脅威と暴力性ばかりを前提に多くの報道がなされているが、情報と食糧を奪われ国家暴力におびえる人たち、国民の人権こそ最も大きな問題なのである。