言論弾圧を平気でやるKGB出身の、現首相であり次期大統領が確実視される、プーチンが北方領領土について言及した。最終決着させたいと発言したのである。
彼の思惑は、歯舞・色丹の二つを日本に渡して、半分ずつつという思惑である。根拠になっているのが、1956年の日ソ共同宣言である。北方領土は四島となっているが、最大の択捉島と国後島で面積は、北方領土の93%にもなる。色丹は島というより群島あるいは岩礁である。
しかし、排他的水域となると別問題である。僅か二島であっても、根室の漁師が動揺するに十分な広さがある。
二島返せば、半分づつという名目が立つのであろうというのが、プーチンの思惑である。ゴルバチョフ時代に真剣に日本に打診した経緯があるが、四島を不法占拠するロシアに対して、日本側は譲らなかった経緯もある。さらに、経済的に疲弊する時代、エリチンとかなりいい関係にもなった時期もあった。
その後、対米従属しか外交理念のなかった小泉の時代に、あらゆるものが崩壊してしまって経緯もある。次期政権を前にして、プーチンは日本に揺さぶりをかけてきた。
ここで、歯舞・色丹を返却して経済交流を図ろうというのであろう。日本側の根室の返還運動も、大きな転機を迎えている。世代交代が進み、原則論を譲らない現役世代の平均年齢は80才にはなるであろう。若い世代は、疲弊する根室経済を背景に、本音で経済交流を望んでいる。
閉塞状況にある日本の北方領土返還運動であるが、プーチンの本音は日本にボールを投げているようにも見えるが、日本が建前で動けないことを見越した、陽動作戦といえる。日本が、二島返還で動かないことを見越しているのである。
したたかなロシアの外交戦略に、日本の短命政権はどのように打って出ることになるのだろう。