参議院選挙がきょう公示された。菅政権の評価が問われることになるであろう選挙であるが、すでに勝敗は決していると言える。消費税論議を持ち出す、菅直人の巧妙な戦略が功を奏した と言える。
民主党は消費税論議を選挙直前に持ち出し、しかも自民党案に乗っかるという離れ業をやってのけた。これで、自民党との論点が希薄になった。自民党が、いまだ責任政党としての立ち所を示すために、消費税を思いきって当座は10%は必要と打ち出したのだが、これを民主党にパクられてしまった。
菅直人は以前、政策には政策で打ち消すようなことを発言している。政治とカネの問題や普天間基地の問題は、消費税という巨大なお化けのおかげで、すっかりかすんでしまった。おまけに、最大の難物である、小沢の口封じも菅はやってのけた。小沢は、消費税については消極的である。小沢は選挙前にはだんまり作戦に徹すべきと考えていた。小沢作戦を真っ向から消してしまったのである。
小沢は居所がなくなってしまった。選挙応援演説では、消費税については自説を少し述べては見たものの、党の方針には従うような極めて歯切れの悪い発言をしている。
参議院選挙では、自民党は勝つことができない。自民党は離党した連中が、いくつかの小党に分かれたことで大きく党勢を削いでしまっている。自民党そのものに活力がなく、今回の選挙では確実に議席を減らすことになる。政権与党でなくなった寄生政党である公明党も、同様に議席を減らすであろう。
それに対して、自民党を抜けた小党もほとんど存在感を示すことすらできないだろう。唯一みんなの党がどれほどの実績を残すかが興味のあるところである。
結局は、民主党が単独過半数を超えるかもしれない大勝をする可能性がある。今回の選挙は、民主党が54議席をいくら上回るかが唯一の焦点になるだろう。