えびの市の口蹄疫が解除された。えびの市は宮崎県と鹿児島熊本の県境の地域にある。ここは飛び地のように感染牛が発生したところである。えびの市が早期に口蹄疫に伴う家畜の移動が解除されたのはそれなりに理由がある。
6月3日の時点で発生戸数は、269戸である。牛が193戸、豚が78戸、緬山羊が7 戸となっているが、飛び地のえびの市の発生は4戸である。誰かが患畜を運んだとの話もあるし、状況として否定しがたいところもある。しかし、えびの市の発生に対する早期の対策が功を奏していることも確かである。
圧倒的に排菌量の多い豚の感染を極めて早期に対応できたことが何よりも大きい。真症判断を受ける間に、処分しているのである。これは推測であるが、こうした知識を持つ政治的な立場にある人が、いたのではないかと思われる。自民党時代には、保守王国の宮崎には沢山いたのであるが、現状に対する情報は持ち合わせていない。
口蹄疫発生当初に、早々と宮崎県の自民党が民主党を非難している。えらく気が早いなと思ったが、その後の民主党政権内のもたつきを見ていると、うなずける面が少なからずある。政治主導を掲げるあまり、官僚が持つ経験と知識に蓋をしたのではないかと思われる。
川南町などの発生は依然と続いているが、気になるところがある。5月26日以降に59戸発生しているが、3戸を除き全てがワクチン接種済みの農場で発生している。その3戸も26日の発生である。もうそろそろ収まって良いと思われるが、ワクチン接種による発生でないのか気になるところである。豚の発生が極端に少なくなっているのは、既に発生していることなのかは判断できない。
しかし、ワクチン効果の確認はどうするのだろうか。抗体が上がっていないようだと、予防のための接種には意味がなかったことになる。いずれにしろ、今回の口蹄疫拡大は、初動対応の遅れが原因であることは、えびの市の移動解除が教えてくれるところである。