左の表は農産物に関する、世界各国の関税率の比較である。日本が断然低いことが分かる。日本は11.7%である。EU諸国の平均は20%である。(クリックすると大きくなります)
日本農業が弱いのは、あるいは競争力がないとされるのは、「規模が小さいから効率が悪い」とする論調が一般的である。現実には、おコメに400%ほどの関税を設けていても、平均するとこんなにも農産物関税を低くしてるのである。
先進国の中でも日本はもっとも農産物に関しては、開放的な国家と言える。コメに関しての経過から、日本農業の閉鎖性を強調されるが現実は違うのである。
つまり日本政府は、日本の農業を守る姿勢を持っていないのである。今年問題になったWTOの全体の1割しか占めない重要品目以外に限ると、僅か3%なのである。日本農業は、激しい国際競争を強いられているのである。
農業輸出国であるタイは35%、アルゼンチンは33%であることを考えると、農産物の本質が見えてくる。インドやノールウェイに至っては100%を超えている。
日本の農産物に対する低関税政策の結果が、今日の偽装やメラニン入りなどの安全性に直結しているのであると言える。
アメリカやEU諸国では、主要な食料については国内消費量の5%程度にミニマムアクセスとして輸入の上限を設けている。日本は低関税に加えてこうした規制保護を行っているのは、おコメだけである。
量的規制がない分、人件費が安かったり、管理状態の劣悪なところからは、どんどん輸入されることになる。安全性も品質もあったものではない。
日本の農業・食料は保護されることなく、あるいは輸出される工業製品の代償のための犠牲として、存在し続けている。こうした長年の農業政策の結果、日本農業は高齢化と限界集落を抱え込む地域となってしまった。日本の農業は手厚い保護を行っても、今や生き返れない状況にあるのでないか。