アイスランドが国家として破たんの危機にあると宣言された。この国は、元々漁業が主産業の国家である。通貨(クローナ)紙幣に複数の魚を描くほどである。
市場開放政策とほとんどのものを民営化することで、経済成長を成し遂げ「小国における開放政策のモデル」と持ちはやされていたのである。インフレ率が14%、政策金利が15.5%にもなっていたのである。銀行がイングランドサッカーチームを買い取ったこともあった。
今回の金融危機でそれらの全てが破たんした。政府が全銀行を管理下に置くことを決めたが、クローナが対ユーロで40%以上も下落しては、国家は背負い切らない現状である。国のGDPの何倍になるか試算もできないということである。
小さな政府と市場開放と金融の自由化を唱えていた小泉・竹中路線の、典型的な終末結果である。
一方中国は、この金融危機にあってどうやら一人勝ちの様相を呈して来たようである。中国の主要な銀行はすべて国有銀行である。この国は民主国家ではなく、中央集権国家である。北京オリンピックで見せたように、土地の収用でも国家が何の障害もなかったように、勝手にやってしまうのである。少数民族ついても同じである。
そのことが、国民の権利や幸福につながるかどうかは別問題であるが、国家は統制に慣れている。今回の金融危機を「アメリカなどの先進金融資本主義国家の問題」と平然と発言している。
対アメリカ貿易の行き詰まりも、国家内需で乗り切ることができると断言している。ようやく農村への、改革開放で蓄えた資本の還流をやろうとするようである。
ともあれ、この13億の食いぶちを抱える国家は、この危機を平然と乗り切る手だてを持っている。アイスランドにはそれがない。この国は資源を活用して行くべきであって、バブル国家の道を選ぶべきではなかったのではないか。
国家は金融まで市場にゆだねるのではなく、1次産業は元よりそれぞれの環境を活用し適応した生き延び方と資源を活用するべきなのである。アイスランドはこれから漁業と観光などで生きて行けばいいのである。これらのことを日本は教訓化するべきである。