今週の法話

法華宗北海寺住職-二王院観成による仏教用語と法話集です。毎週水曜日に更新いたします。

天皇特例会見は妥当

2009-12-17 08:51:46 | 皇室
 中国の習近平国家副主席の来日に際し、天皇陛下との
会見が問題となっている。習近平国家副主席は次期国家
主席と推測報道されている重要人物である。「一か月ル
ール」に反するから、「応じかねる」、と一旦はお断り
になった。その後、総理からの要請で応じることになっ
た、ということである。。この宮内庁長官の11日の説
明が問題の発端となったのである。
 確かに天皇の健康状態や年齢などを考えると、長官の
心配は当然のことである。昨日(16日)習副主席が帰
国したのを期に、冷静に今回の問題点を列挙して考えて
みよう。
 ①「陛下の国際親善の活動は、相手国の政治的重要性
とか、国の大小とか、関係なく行われてきた」、という
長官の説明は、単純すぎる。中国は北朝鮮と親密な関係
にある。北朝鮮はミサイルの試射に対する国連制裁に、
場合によっては核攻撃すると云っている。日本も対象で
あるかのごときことが報じられている。北朝鮮を抑えら
れるのは、現在のところ中国だけである。これらの国際
状況を長官はどう考えているのであろうか。
 ②先の大戦で日本は中国に人命ばかりでなく多大の損
害を与えている。その贖罪とまでは云わないが、丁重に
もてなすのは当然である。それは日本自身の卑下外交と
はならない。
 ③今回の長官の一番の問題点は、習副主席の来日前に
発表されたことである。これは習副主席並びに中国人民
に対して失礼である。親善外交以前の問題である。
 ④もしも長官の意図を国民に知らしめたいというので
あれば、習副主席の帰国後、報道陣の数人に漏らす形を
とるべきでだったと思われる。直接的な長官の表現は避
けるべきだったと考える。
 ⑤天皇が習副主席と会見することは民主党の「政治利
用」とは云えない。また、天皇が副主席に政治的な話題
やお願いをすることはありえない。また、副主席も同様
である。天皇と副主席の関係を政治利用と表現した長官
の発言は慎重に避けるべきだったのではなかろうか。
 ⑥今回のような突発的な案件が出た場合に問題となる
のは、天皇の国事行為や公的行為等の件数が過酷すぎる
からである。皇太子殿下等の皇族の方に、一部変わって
いただく方策を真摯に検討すべきではなかろうか。
 ⑦長官にとって、天皇の健康状態などを心配した正論
のつもりで云ったのかも知れない。確かに一理ある。し
かし、国民の中には、いろんな考え方や受け止め方をす
る場合がある。もしも、今回の宮内庁長官の発言が、政
治的な思惑を含んでいるのではないか、と逆に受け止め
る国民がいるかも知れない。そうなれば、大変なことに
なりかねない。政治的な意味合いを含んだ発言は、慎重
の上にも慎重を期して発言すべきである。皇室の存在を
危うくするような発言等は避けるべきではなかろうか。
 以上の観点から、天皇と習副主席の会見は、そんなに
重大な問題があるとは思えない。今回の特例会見は妥当
なものといわざるを得ない。宮内庁長官は、今回の事例
を教訓として今後とも天皇陛下を守っていただきたい。

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