今週の法話

法華宗北海寺住職-二王院観成による仏教用語と法話集です。毎週水曜日に更新いたします。

COP17と人類の未来

2011-12-15 23:52:57 | 環境劣化と人類延命の智慧
 南アフリカのダーバンで開催された気候変動枠組み条約の第17回締約国会議(COP17)
が終わった。いくつかの合意事項が確認されたが、温暖化阻止の具体策は何一つなかっ
た。「新たな枠組みをづくりを目指す」という抽象的なものでしかない。逆説的には、
逼迫している人類の危機を国際的な世論は何ら感じていないという証拠でもある。最近
の自然現象の過酷な異変を知ってはいるものの、人類の未来が危機に瀕しているという
認識はゼロに近い。人類が滅亡するのは何百年も先だと思っているのであろう。確かに
現在は人類の危機を実感できる段階に達していない。しかし、人類の絶滅感を身近に知
るようになれば、人類の最終段階になっていることを意味する。炭酸ガス等による地球
の環境汚染は悪循環と負の相乗効果で急速に進んでいるのが現状である。2乗・3乗の早
さで環境破壊と環境劣化は進む。
 第一、「温暖化」を、「気候変動」と云って、危険はないかのような言葉で詭弁を弄
していること自体、甘い判断といわれても仕方ないであろう。現実はそんな悠長な地球
劣化の状況ではない。世界中が洪水に襲われるテレビニュースは恒常的な状態となって
いる。日本での竜巻発生はめったになかったのに、人間3人が180mも飛ばされて死亡す
る状態にすでになっている。2050年になる前に、地球の劣化現象が人類を脅かすのは間
違いのないこととなるであろう。人類が滅びる「小の三災」が本格化するのはもはや時
間の問題と云っても過言ではない。

 野僧が「地球成仏」を出版したのは1998年であるが、書き始めたのはその2年前の96年
頃のことである。当時すでに「科学が発達し、人類が今後どんなに対策を練っても人類
絶滅は避けられない」、と強く主張する科学者がいたのを見聞していたのである。「そ
んなことはないだろう。必ず人類が延命する方策があるはずだ」、として反発して書き
はじめたのである。しかし、資料としてワールドウオッチ研究所の「地球白書」などを
読んでいるうちに、かの科学者の主張が正しいことを確信せざるを得なくなってしまっ
た。

 一方、仏典を探しても人類が延命する方法、手段を見つけることはできなかった。逆
に、人類が絶滅するプロセスとメカニズムが説かれているのを発見した。先ず難病、奇
病が発生すると説かれている。その原因は環境悪化と推測される。炭酸ガスや原水爆実
験、さらには原発事故や化学物質等による環境悪化が原因として考えられる。その難病
などは治療して直すことは困難である、とも説かれている。次に穀物などは高温と水不
足のために成熟することができず、さらに飢餓のために人類が早く茎などを食べるよう
になる、と説かれていたのである。最後は、石つぶてや木の棒などの原始的な戦いで、
意味なく殺しあって人類は絶滅すると説かれていたのである。

 この点について、ワールドウオッチ研究所は、設立されてからほどなく、人類は絶滅
することに気がついたものと思われる。それまでは「地球白書」の中で、環境の浄化を
説いていたのである。しかし、企業活動や産軍複合体などによる戦争等の影響で環境汚
染が進み人類絶滅は避けられないことを確信したものと推測される。ほぼそれと同時に
ワールドウオッチ研究所長はレスター・R・ブラウン氏からクリストファー・フレイヴ
ィン氏に2000年に変わった。それは、研究所の方向転換を意味していたものと思われる。
その意図は、人類の絶滅の確実性を多くの地球人が認識することを恐れたからであろう。
ブラウン氏はその後、日本などのマスコミに頻繁に登場するようになった。「一部の書
籍などで人類絶滅の危惧が云われているが、そんなに急に絶滅することはない。当面、
絶滅を考えなくとも良い」という内容を繰り返した。それに対して野僧は本欄で激しく
反撃した。その根拠は「地球白書」であった。ブラウン氏は序文などの中で、人類の危
機を説いていたからである。さすがのブラウン氏も、野僧の反論を認めざるを得なくな
った。「環境が悪化しているのは事実である。早急に対策を講ずるべきである」、と。
それ以後、ブラウン氏は日本のマスコミに登場しなくなった。ブラウン氏に変わって否
定に躍起になったのが世界中のマスコミである。「温暖化は認められない」、というも
のである。その主張は現在も続いている。その影に巨大な組織がちらつく。世界金融財
閥の影である。今のうちに儲けられるだけ儲けよう、ということであろう。世界中のマ
スコミが正義の味方だと思うのは幻想である。功利主義に負けてはならない。人類の絶
滅が避けられないとしても、我々の子孫が安楽に一年でも長く命を永らえるようにすべ
きではなかろうか。

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