ニコ、酒場で戯言

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なべ presents

Zeno 「Zeno」 1986

2005-07-28 21:34:07 | 雑記
貴乃花と若乃花が世間を騒がせているが、同じ職業で兄弟が張り合うと良いことがない、というのが心理学の定説らしい。それを分かっていたからか兄は相撲界を飛び出したが、弟はきつく握った矛の先をどこに向けていいか分からんらしい。八百長を持ちかけられたのを未だに根に持っているのだろうか(まっ、本当なら持つわな)。現役時代は同じ髪型で同じく太っていたのに、今では漫画のキャラクターみたいに差別化されている。静かに争いは続いているのだろうか。

ウルリッヒ・ロートとジーノ・ロートという兄弟は同じ音楽業界で同じジャンルで同じようなプレーをしていながら、驚くほどにお互いに無頓着にようにみえる。成功してないから、とか陰口叩かないように。髪型は張り合ってるな(爆)。

その弟、ジーノの1stアルバムが今回のアルバム。ドイツという国籍や背景を超えポジティヴ・エネルギーに満ち溢れた脅威の名作だ。ポジティヴ過ぎて酔っちゃうおそれすらある。兄ウリ・ロートはスコーピオンズ時代、まるっきり健全な人ですら落ち込ませるような鬱屈としたメロディを奏でていたのに(それがまた最高なんです)、後にそれを封印するかのようにポジティヴメロディーを紡ぎ出す。DNAなのだろうか。そして、DNAを感じさせるのは、二人のギタープレーに関してでもある。

俗にいう『ギターが歌う』という表現は彼らのプレイにこそ当てはまるものだ。私はそう思っている。指のタッチの強弱が肌のぬくもりを伝え、スムーズな運指は口から言葉が出てくるかのような滑らかさ。代替できない人の優しさに触れたかのようなプレイ。決して高度なテクニックは駆使しないが、人の心に直接訴えかけるプレイ。自分で書いてて、ひどく私らしくないストレートな表現だな、と思うが、こんな使い古された表現を思わず使いたくなるほどシンプルに素晴らしいのだ。

曲毎にツブが揃っていて、捨て曲はほとんど存在しない。その中でもとびっきりぬくもりを感じられるのが“Far away”と“Don't tell the wind”。気高く、俗っぽさを排除したつくりだとロックの本質とはかけ離れると受け取る人もいるかもしれないが、逆にいうとそれらをギターでシンプルに表現しきったジーノの魅せ方こそロック的だ。マイケル・フレクシグの歌声は多少クセがあって苦手な人がいるかもしれないが、この2曲に関してはパーフェクトな出来。迷わずおすすめできる。アジアンテイストな“Eastern sun”も力強く魅惑的なメロディを感じることができる名曲だ。

余談だが、このアルバムは93年にCD化されるまで、ずっと幻の名盤で中古店にて法外な値段で売られていた(廃盤のため)。新譜を買うにも節制する高校生だった私はラジオから流された音源を大切に録音し繰り返し聞いていた。その飢餓の記憶がこのアルバムを聴くときにいまだに絶妙なスパイスをふりかけてくれるのだ。

来年のドイツW杯。表彰式には“Love will live”を。クイーンの曲なんてかけたら興醒めだね~(笑)

次回は反応が薄いロック・クラシックスを
と思ったが1枚イレギュラーなアルバムをはさむことにします。


トレーニング中の選曲
“Eastern sun”
“Love will live”
“Far away”
“Don't tell the wind”
“Circles of dawn”
“Sent by heaven”
計29分13秒

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