夜には、「チェルノブイリから29年 ~ 失われた繋がりを取り戻すために ~ 」。京山公民館主催の東日本大震災関連講座「今、私たちができること」国際編です。
ウクライナのキエフから、チェルノブイリ被災者支援をしておられる二人の女性、クラシッカさん(左から2番目)とベスバーロヴァさんが岡山にきてくださいました。お二人とも、ご自身が被災をしながら、被災者支援の活動をずっとしていらっしゃいます。
クラシッカさんは、チェルノブイリ障害者市民団体「ゼムリャキ(同郷人)」代表です。汚染地域の元プリピャチ市から避難された住民たちで設立されています。多くのニーズや課題があるが、時間の経過とともに、被災者の皆さんの健康状態が悪化しているので、医療プログラムが中心になっていると言われました。岡山にくる前は福島にも訪問をされ、汚染地域への帰還の状況もみておられました。「放射線の被害は何代も続くのでよく考えてほしい」と。孤独に陥らないよう自分を取り戻し、前向きにやれるようにプログラムを行っている。絵画コンクールやコンサートなど楽しい催しも多いようです。
ベスバーロヴァさんは、キエフの病院で、チェルノブイリ被災児童を担当するセクションの主任医師です。30年にわたって、被災児童の診療にあたってこられ、小児甲状腺ガンや悪性腫瘍の件数などをあげて説明をされました。時の流れとともに、慢性疾患がふえ、消化器系統や精神・神経系統、免疫系にも影響が生じていると言われました。被災者の子どもも被災児童のカテゴリーに入り、健康診断が行われている。年に一度の保養を行うと法律では定められているが、国の経済事情で困難が生じてきていると言われました。
ゼムリャキには日本の市民団体との連携や支援があり、ヨーガ療法のレッスンもあるようです。いただいたリーフレットには子ども支援の写真もありました。30年経っても子ども支援が必要ということです。
お二人からありのままの現実を学び、熱心な取り組みと姿勢・口調に、いつまでも興奮は収まりません。お二人は、子どもの健康の話しを、参加された皆さんが実に真剣にきいてくださっていたと言われていました。福島原発事故から30年というと私は80歳です。お二人の活動のモチベーションは、目の前に課題が次々とあるからということ。今ある、また生じてくる課題や問題をつかみ、お二人のように朗らかに人間関係を育みながら前向きな取り組みに知恵を絞りたいです。そのためには、80歳の健康体の私もあわせてめざします。
なお、通訳は竹内高明さん(左)で、岡山市出身の方です。チェルノブイリ事故後、ウクライナ滞在も含めてずっと現状をキャッチし、支援活動団体と連携をもってこられました。顔と顔のみえるなかで信頼関係が築かれ、こうして私達もつながり、学ぶことができ、心から敬意と感謝でいっぱいです。