2日目・9月7日
夜中には雨だったが、朝にはやんだ。しかし濃霧でご来光は望めなかった。
5時朝食
6:00 寒いので上着を1枚増やして、下山開始した。昨日登った道を下るので気分は楽だった。
私は霧に濡れる花たちの撮影をたのしんだ。こんな日は一眼レフで撮りたいが・・今回もコンデジだけしかもってきていない。
スゲに咲く霧の花
ウサギギク
ガンコウランもイチゲも残っている・・やっぱり今年は異常気象だった。
今日もチングルマをとる
これは食べられない茸?
コガネギク
ここから杓子平に下る
↑ 向うの尾根が見え隠れしている
↓ 湧き水が流れる音がする・・・ふたりは゛汲みに行こうヨ!”と
私はその間に撮りましょう
クロマメノキの露
セリの仲間やキクの仲間
ハクサンイチゲが残っている
まだ、笠ヶ岳は雲の中、抜戸岳だけがみえる。
ここからは岩だらけの歩きにくい登山道を3時間くだることになる・・
<アクシデント発生>
他の登山者の参考にしてもらうために、あえてここに書くことにした。
2200mの標識の下、2150m付近で、一番前を歩いていたSさんが突然私の視界から消えた!激しい悲鳴!
谷側に傾いた大きな石と木の枝の間に体ごと挟まれている。
Sさん”ボキッと音がした。左脚が折れたかもしれない・・・困った・・どうしよう”と
(私の整形外科の経験から)確かに骨折時の痛みのようだ。とにかくこのままでダメだ。登山道の脇にマットを引いて移動し、ある材料をかき集め下腿の固定を試みた。
3人の装備の中からエアマット、三角巾、靴の紐、予備のロープを使いできるだけ動かないようしたが、それでも少しの震動で激痛がある。足首にタオルを縛り、踵方向に牽引すると痛みは軽くなる。
これからどうすればいいか・・・これでは背負って下りることはとても無理だし、危険だ。ヘリを頼むしかないと本人も納得した。本人が携帯電話で119番、高山市の消防署につながった。
間もなくヘリが飛んできてくれたが、私たちがいる標高より下で音がするが機体は霧の中。直ぐ旋回して去ってしまった。スマホで何回かのやりとり 消防隊の要求は” 下からは判らないから、現場から向うの尾根が見え、空が空けたら知らせてくれ・・”など。
根気よく待つしかない・・・本人は痛みに耐えながら、明日からの仕事の心配をしている。
2時間して霧がサアッと引けた ”今です!お願いします!”と。
今度はヘリが飛んできてくれた!うれしかった。私は牽引の手が離せないので、Y君が赤いザックカバーを必死で振った。ヘリは見つけてくれた。
この事故現場が視界が利く場所で本当によかった。
患者となったSさんを乗せた機体は雲の中に降りて行った。
結局、高山市消防隊のヘリにピックアップしたもらったのは事故から2時間後となった。
残された私たちは彼女のザックもかついで下りることになった。樹林帯を下りながら話したことは・・もしこの樹林帯で今回のような事故になったら、ピックアップしてもらうことはできなかった。そしたら・・・どうなっていたのかな・・・3人いてよかった。単独行はやっぱりダメだねと。3時間後、新穂高の駐車場に疲れきって下った。
本人が高山市の総合病院に搬入されことを確かめ、そこに向かった。しかし、高山市で、入院治療を受けることはいろいろ支障があるので、松本市内の病院に紹介してもらい、自家用車で引き返したのだった。
2日後の昨日、左下腿骨骨折に対して手術を受けた。
Sさんは患者を看護する側から患者自身となって、貴重な経験をすることになったということか。