即席の足跡《CURIO DAYS》

毎日の不思議に思ったことを感じるままに。キーワードは、知的?好奇心、生活者発想。観る将棋ファン。線路内人立ち入り研究。

感想戦の基本理念

2008年01月30日 00時07分21秒 | 将棋
歩を「と金」に変える人材活用術―盤上の組織論
羽生 善治,二宮 清純
日本経済新聞出版社

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この本についての第4弾。
(参考その1その2その3

感想戦についてです。

何もかもオープンにしてるわけじゃないけど、基本的にはオープンにする。

将棋には著作権がない。
戦法を真似してもかまわない。
他の世界とは違って、おおらかである。
小さな個人的権利よりも、公共財の奉仕者たる意識の方が強い。
基本的に性善説。

ここがスポーツと違う。ありえない。
スポーツは必ずズルをするのが前提でルールが組み立てられている。
抜け穴をつく者が出てくると、性悪説になっていく。

やはり、将棋は武士道の精神に通じている。

自分の考えを率直に披露すること。

デメリットは、手を読まれること、手の内を知られること。
メリットは、吐露しあうことにより、二人の力が進歩する。

結局それを量りにかけても、メリットの方が大きいとの判断故、感想戦が成立している。

手の内を明かしながら素直に自分の読み、作戦の裏側をぶつけあった方が、結局お互いの成長につながる、という精神。

さっきまでは敵だけど、終われば「和をもって尊しとなす。」
ノーサイドの感覚。

決して社交辞令ではなく、大人同士の、力を認め合った同士の貴重なブレスト。

共同でことの本質を追求する姿勢。

なんかいいですね、さわやかで潔い。

力を出し合った後、お互いを称えつつ、裸の自分を見せ合う。

うらやましい世界です。


これは、ウェブの世界にも似ている。

情報を囲い込んでおくよりも、開示してしまう。公開してしまう。発信してしまう。

その方が、多くの情報が入ってくるし、貴重なノウハウが得られるし、結局は得をする。

リナックスの話とか、ウィキペディアもそうだし。

物理的な見返りを求めるのでなく、皆がボランタリーな精神に基づいて、いわゆる社会のためにお役にたっている。

自分の知識、知恵、経験、ノウハウ。

そんなものは以前は、絶対に明かさないものだったし、明かすことは損することだった。

しかし、WEB2.0によって、すっかり時代は変わったんですね。

皆が協力して、知恵を出し合い、社会の役にたつものを作り上げていく。

集合知ってやつですね。


翻って、自分の仕事。

競合プレゼ。企画コンペ。

終わってからコンペに参加した競合同士が、お互いの企画を見せ合ったり、情報交換したり、絶対にしない。

普通のビジネス感覚ではありえないのだけど、

お互い力を認め合っている同士であれば、感想戦やった方がいいかも、
と言う気になる。

感想戦をやることで得たものは、次の企画に生かせるはず。
いろんな気づきがあるはず。
あー、こういう発想があったのか。
これについてはそういう解釈だったのか。
そういう角度から検討したのか。

とりもなおさず、それはクライアントのためになるはず。

クライアントのために、力を出そうとしている人や会社が、集合知のしくみで知恵を寄せ合ったら、もっとすごいソリューションが生まれるはず。

クライアントが、感想戦をやるように指示を出せば実現できるのかもしれない。

でも、どうなんだろ、本音トークにはならないな、多分。

本音でぶつけ合わないと、決してお互いの成長にはならないと思うので、
これができるかどうか。

難しいんだろうなあ・・・。

でもできたら面白いね、きっと。

どうでしょうかね、川島さん
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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
情報は旬なうちに。 (nanapon)
2008-02-06 23:39:41
川島さん、こんばんは。

>自分が持っている(入手した)ものを「企業秘密」として溜め込むのではなく、どんどん人に教えてしまう!そして、「教える=アウトプットすればするほど
自分に入ってくることも増える」らしいです。

最近このことほんとそう思ってます。
むしろアウトプット<インプットかと。
どんどん放出しなきゃ、ですね。

>情報も技術も、あっという間に進化する昨今、
「いつか使おう」とか「自分だけの秘密」なんてもんは、すぐに古くなる。

やはり時代のスピードが速すぎるので溜めておいても価値は出ない、ということなんでしょうかね。
IT関連のことだけでなく、情報はすぐ古びてしまう。価値がなくなる。旬の時に使わないと、ということですね。

>自分の狭量や知識の少なさに「そうだよねー」と納得してます(苦笑)

はい、僕もどんどん放出路線はまだなかなか。
ケチな根性が邪魔してます。
返信する
知識のおしみない公開 (川島孝之(表参道の小さな広告屋から))
2008-02-05 01:17:02
トラックバックをいただきながら、ご返事が数日遅れ
失礼しました。

nanaponさんの言う「手の内をあかす」ことに関連して
思うのは、最近 経営者の方が言う台詞で目立つものに
「出し切る」とか「持っている知識・情報を惜しみなく」
というのがあります。

自分が持っている(入手した)ものを「企業秘密」として
溜め込むのではなく、どんどん人に教えてしまう!
そして、「教える=アウトプットすればするほど
自分に入ってくることも増える」らしいです。

情報も技術も、あっという間に進化する昨今、
「いつか使おう」とか「自分だけの秘密」なんてもんは、
すぐに古くなる。それより「どんどん公開」して、
自分は「より新しい情報の取得」に努力したり、
「公開することによる人からの反応・インプット」を
得たほうがいい。

自分の狭量や知識の少なさに
「そうだよねー」と納得してます(苦笑)
返信する

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