久しぶりに、映画を見てきました。
ここ飛騨には映画館がありませんから、富山まで行きました。
イオンモール高岡にある、東宝シネマズに。
行くのに、2時間かかってしまいましたが……
見たのは、「ラストマイル」です。
ちょっと前まで話題であった映画です。
少し旬を過ぎた感がありましたけれど、土曜日お昼過ぎの回です、150席近くあるホールで、お客さんは、15名ほど。
入っていませんね。
今日の岐阜新聞の映画週間ランキングにおいて、ラストマイルは第一に返り咲いていましたが、富山ではそれほど入っていませんでした。
だけど、映画は面白い!
なかなか骨のある映画でした。
見たばかりですので、詳細までは語れませんが……現在の流通システムをリアルに描き出し、その弊害、歪み、をきちんと描いています。
それで、もし何々が起きたら、というシミレーション的展開を、時にドキュメンタリータッチで描きながら、余すことなく描いています。
この作品の監督、塚原あゆみ、という方、素晴らしいです。
また、脚本家の、野本亜希子、と、タッグを組んで、納得できる物語にしています。
ある意味、女性視線というのがあるのでしょうか……
個性的な男優陣が、みな滑稽な振る舞いをします。
それは、けっしてステレオタイプされているわけではないのですが、懸命に働く男たちは、傍から見ると、おかしく見えることがあります。
それが楽しく見られるのです。
物語のなかで、いくつかの場面において、鍵になる女性たちがいます。
主人公、犯人、警察現場のトップ、ある家庭の母親、息づいている感じが強いのです。
女性ならでは、といったら陳腐でしょうが、見ているこちら側の胸を打ちます。
男性が中心になって描く女性像とは明らかに違います。
主役の満島さんは、男性から見ると、気味が悪い、という風に見えてしまいます。
彼女の美しさが、そもそも心象的に崩れているから、なのかとも思えるくらいです。
冒頭、彼女の横顔がしつこいくらいに映されます。
また、セリフが良い。
ぜんぜんつながらないところから、ふっと出てくるリアルなセリフ等。
悲惨な現場から、思わずププッと笑えてしまうセリフなど、なかなかです。
見られていない方のために、物語を語ることはしませんが、伏線も見事なくらいに回収されますし、見ごたえある映画でした。
そして何より、身につまされます。
途中、何度も、見るのが辛くなるほど、現場を描いています。
けっして大げさではなく、そういう世界なのですよ、と。
どこでこうなってしまった、と嘆きたくなるような現実世界を描いています。
ヘビーでもあります。
だけど、終わりはけっして暗くないです。
ある意味、ファンタジーですか、と言えなくもないけれど、これでいいんじゃないですか、と。
最後に一言……火野正平さんが、なんとも味が合って、良かったです。