普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

原爆忌と米国との関係の見直し

2008-08-10 05:55:58 | 政策、社会情勢

 広島に続いて63回目の長崎原爆忌が昨日行われた。
 その時の両市長の挨拶で最初のころの不戦の誓いや「過ちは繰り返しません」だけから、原爆を落とした米国始めとする核保有国への核放棄の訴えに重点が変わってきているようだ。
 これは占領時から刷り込まれてきた「悪いのは全て日本だ」と言う考え方から、少しづつ抜け出してきている証拠だと思う。
 日本も戦争を起こした「過ち」を繰り返さないのは勿論だが、米国にも原爆を落とした「過ち」を繰り返さないように訴えているのは正しいことだ。

[米国の現実の姿を知ろう]
 私は日本への空爆が激しくなる前に入隊していたので直接の経験はないが、私がもといた北九州の一般民家は焼夷弾投下で焼け野が原になり、友達の話によると低空飛行する米軍機から機銃掃射を受けて逃げ惑ったそうだし、石原都知事も同じ言っていたが、原爆投下は言うまでもなく、その全てが戦争犯罪だ。

 私は原爆忌や終戦記念日が集中する8月は、日本が戦争を放棄する手段として、その長年同盟を組んできた米国との関係を改めに見直す機会にするべきだと思う。

 米国は次のような過去を持つ国だと言う事は明らかな事実だ。
・核兵器を開発して全世界に広めた国
・その核兵器を使用した唯一の国
・二次大戦後、世界で一番余計によその国で戦争をした国
・自国の利益のためには国際法など無視してきた国
・折角出来た国連でロシヤとともに最も拒否権を発動した国
・処理の難しいテロリズムを定着させ世界に拡散させた国

 強大なローマ帝国も何時かは滅びたように、スーパーパワーを誇る米国も何時かはその力か衰えるのは歴史が示すところだ。
 そして、もし米国がぽしゃったとき、米国一本槍できた日本の立場はどうなるかだ。

 最近ではその前兆を示すかのように、
・温暖化対策、原油への投機資金の規制への消極姿勢で世界の足を引っ張り、信用を失いかけている
・落ちかかっている米国経済を支えようとした、胡散臭いサブプライムローンでのバブルが崩壊して世界の経済の足を引っ張っている
 自動車産業の停滞、住宅バブルが崩壊したあと米国は今後何を柱にして国の成長を支え世界をリードして行くのだろうか。
・北朝鮮への態度の軟化→日本に対する変節
と米国の行く先に赤信号がともりだしたようだ。

[米国との関係の見直し]
 私は単に米国を攻撃するつもりはないし、日米同盟を解消しようとか、反米に方向変換してはと言うのではない。
 日本は国を護るために次のような現実を踏まえてあらゆる選択枝を見当すべきと思うのだ。

・ことによると米国の政権も民主党に移ればその方向も変わるかも知れない(私はそう大きくは変わらないと思うが。)

・米軍の日本駐留の意味
 日米同盟は日本の安全保障にとって重要なものであるのは勿論だが、米軍が日本に駐留するのは日本を護るためだけでなく日本の軍隊の動きを牽制するためであることは識者の指摘する所だし、私たち戦前派の実感しているところだ。
 その証拠は冷戦時のロシヤでさえ、一昔前米国と対決姿勢にあった中国でさえ米軍の日本駐留に反対しなかったことでも明らかだ。
 つまり日本の米国への態度の変更は世界的に見ても大きな影響を与える問題で、軽々に決められることではない。

・日本は今まで戦争せずに済んだのか
 日本は憲法で戦争放棄を宣言したが、自衛隊のイラク派遣は明らかに参戦だ。(特に米軍の戦闘の為の物資の空輸は完全に戦争行為だ。)
 聖戦(ジハード)を掲げる過激派からみれば、その戦いに不利な行動をする国は戦争に参加していると考て武力攻撃を加えるのは当然で、それに対して身を守るために反撃するのは正当防衛と言うのは明らかに日本側の屁理屈だ。
 この点、所謂9条派が言う様に平和憲法があるので、日本は今まで戦争せずに済んだと言うのは明らかに現実に目をつぶった主張だ。

・自衛隊派遣の理由
 日本政府が自衛隊派遣を決断したのは、当時、北朝鮮が明らかに日本を標的にしてミサイルの発射実験をしたのに、戦争放棄した日本が米国から護ってもらうのを保障してもらうためだ。
 当時、野党から日本人が血を流さねばならぬ戦地へ自衛隊を送るのかと、政府を攻撃したが、米国人が日本を護るために命を賭けねばならぬことを無視した主張だった。
 もし自衛隊に死傷者が出たら、小泉政権の死命を制するだろうと言われたが、小泉さんはそんな事態になっても自衛隊を撤退させなかっただろう。
 そんなことをすれば世界中からの笑い物になるだけだからだ。
 詰まり日本が自衛隊派遣という新しい形の戦争に加わったのは、日本を護ってくれる筈の米国、国際法違反を承知でイラクに侵攻した米国と同盟を組んでいたからだ。

・核の傘の中の日本
 原爆忌に関して言えば、核も放棄した日本が他国からの核攻撃の防ぐ手段として、米国の核の傘に入っていると言うのが定説になっており、そのためになし崩しに核を搭載しているかも知れない米国の艦船の日本の港に入るのを黙認の形になっている。
 つまり核の放棄をした日本は自国では核攻撃をしないが、他国に核を使用して貰って日本を護って貰うと言う捩じれた立場にたっている。
 その点から言えば広島、長崎市長の核廃絶の訴えは現実には難しいが正論だ。

[日本独自の外交・防衛を考えよう]
 私は、日本としては憲法論議や、米国の過去の歴史を考え、その現在の動きを見ながら、そろそろ独自の外交と防衛のあり方(日米同盟の継続の要否も含んで)を考えるべきだと思う。
 少なくとも「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」9条を守っておれば日本は永久に平和だとお経のように唱えるだけでは、国も国民(当面は拉致家族)も護れないことを知るべきだ。 

 そして広島、長崎の原爆忌や終戦の日はあらために日本の方向を考え直す良い機会だと思う。

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参照:
中東紛争から学んだもの(1)米国の民主主義とは
中東紛争から学んだもの(2)日本人として恥ずかしかったこと(1)
中東紛争から学んだもの(3)日本人として恥ずかしかったこと(2)

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