普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

その場凌ぎの政治から脱却しよう

2008-08-31 12:06:25 | その場凌ぎの政治

 政府・与党は29日、物価高や景気低迷などの先行き不安の解消を目指す総合経済対策、「安心実現のための緊急総合対策」を決定した。
 それに対して、各社はそれぞれ下記のように社説で取り上げている。
 読売:総合経済対策 国民の安心につながるか 
 
  朝日:定額減税―ばらまきに踏み出すのか 

 毎日:定額減税 人気取り策に惑わされるな
 日経:目先の負担軽減を優先した経済対策  
  産経:予算編成 財政再建頓挫させるのか
 

  各社の社説はそれぞれの立場から政府・与党のばら蒔き政策を批判しているが、その中で各社の攻撃の的になったのは、中低所得者向けの所得・住民税の定額減税の年度内実施だ。

[不人気な定額減税]
 その中で一番政府寄りとの噂のある読売の社説の同部分を取り上げてみたい。
 読売はその中で、低所得者に対する生活資金の貸し付け拡充や、雇用を維持する中小企業への支援、中小企業金融のてこ入れ、省エネ投資の促進などは一定の評価を与えたが、定額減税については次のように述べている。
 
一方、所得税・住民税の定額減税について、今年度中の実施を決めたのはいただけない。
 定額減税は、所得金額にかかわらず税金を一律に軽減する、典型的なばらまき型の減税だ。1998年度に4兆円規模で実施されが、景気浮揚の効果に乏しく、財政悪化を招く一因になった、というのがこの時の教訓だ。このため、政府・自民党は最後まで導入に慎重だっが、低所得者向けの対策を強化するよう求める公明党に押し切られた。
 しかも、減税の規模や対象者、財源など肝心な中身は年末の税制改正論議に先送りされ、秋の補正とは別に予算が必要となる。
 景気後退で税収は落ち込んでおり、減税の規模によっては、赤字国債の発行が不可避となろう。
 増大する社会保障費を支える安定財源のメドも立たない中で、国債増発による安易な減税を行うようでは、国民はかえって安心できないのではないか。定額減税は取りやめるべきである。

[自民党は公明党との関係を見直せ]
 自民党は今まで頼りにしてきた公明党が足かせになって来ている。
 自民としては各社が指摘しているように、テロ特措法の延長法案などの重要法案成立や、次の衆院選に勝つための戦略となる臨時国会の開会時期まで公明党の主張を入れねばならなかった。
 公明党としては衰退の傾向の止まらないことに大きな危機感を持ってのごり押しだろうが、これを受け入れた自民党の評価が大きく下がる要因となるのは間違いないことだ。
 ネット上では公明党について色々の批判があるが、それはそれとして自民党はそろそろ公明党との関係を見直し、政権維持のための他の方策を模索すべきときが来ているのではないか。
 何の責任もない私から言わせて貰えば、公明党と絶縁→衆院選の敗北を見込んで所得税増税などの将来を見据えた自民党の本音の政策を並べ、それと比較して民主党が政権を取った後どうするかを国民に見て貰った方がのちのちの自民党のため(勿論国のためにも民主党のためにも)になると思うのだが。

[ばら蒔き政策の政府案]
 読売は定額減税以外の政策には一定の評価を与えているようだが、公平に見ても政府が今後日本をどのように導こうとしているのか見えてこない。
 その内容は町村さんは「ばら蒔き政策」ではないと言うが、定額減税を始めとして、明からに「ばら蒔き政策」と言われても仕方がないし、今の大きな経済状況の変化から見ればそののいずれも「その場凌ぎの政策」であるのは間違いない。
 これに対して民主党の鳩山さんは、政府、与党の今回の対策は「ばら蒔き」だと批判したが、言い方は少し下品だが、彼の発言は「目糞鼻くそを笑う」たぐいで、民主党のマニフェストはそれこそ完全な「ばら蒔き政策」でしかも財政上の裏付けもなく、素人目でみても選挙目当ての政策だ。

[詰まらぬことで動く政局とマスコミ]
 横浜市長の中田宏さんは、昨日の読売テレビの「ウェークアップ!ぶらす」で「ねじれ国会」になったとき、「これからは民主党が大人の政党になって、政治がプラスの方向に働くか、それとも混迷状態に陥るか、と思ったが後者の形になっているのが残念だ」と言った。
 然しこれまで政局の動きを振り返ってみると、
・小泉さんの郵政改革の選挙の時には、彼の刺客派遣などの奇策に乗せられて、テレビは選挙の真っ最中に彼や刺客の行動ばかり追って事実上の自民党の応援を行い自民党を大勝させた。(私は地もとの民主党の候補者に党の選挙戦のやり方を変えろと投書した)(*注1)
・民主党は菅さんの談合三兄弟、前原さんのガセねた問題で代表辞任→色々と批判の多い小沢さんの就任→民主党の変質につながった。(私は前原さんの就任時に菅さんの轍を踏まないようにと投書したのだが)(*注1)
・安倍さんは自民大勝の勢いに乗って数々の法案を成立させたのは良いが、政治と金の問題で処理を誤り、参院の選挙の真っ最中というのにまたテレビで赤城さんの絆創膏問題を執拗に報道されたのが安倍さんにとってマイナスキャンペインとなり、彼が放置していた地方の疲弊の問題とともに自民大敗の要因となった。(私は安倍さんに何度も問題閣僚の処分や裸の王様にならぬよう投書した)(*注2)
・そして現在の倒閣一本槍の小沢さんに対する福田さんの話し合い路線で、これで政治が動く訳はない。
 詰まり日本では大きな政治の流れが変わったのはあるとしても、ずぶの素人の私でも判る、ほんの些細な問題、それをマスコミに煽られたことで政局が動いて来たのだ。

[超党派で諸問題を研究する機関の設置]
 一方日本を取り巻く情勢は、中国の台頭→日本の競争力の低下→非正規従業員の増加→貧困化と格差の拡大、800兆を越す国債、経済に暗い影を落とす少子高齢化、輸入価格の上昇→富の流出、高い原料作った安い製品の輸出、投機、投資資金の影響増大と言う経済の環境の変化→市場経済中心主義の見直し、地球温暖化、国防・経済問題で日本の米国依存体質の見直しなど、上記の様な些細な事で変わる政局の動きに比べれば、余りにも大きな問題が日本を取り巻いている。
 こんなときに国会は捩じれ状態の放置、政府・与党も民主党もこの先が全く見えない「ばら蒔き政策」などのその場凌ぎの政治で済むのだろうか。

 日本人は特に政治家は、将来を見据えた総合的に考えることが不得手のようだ。
 それで少子化に備えて1,000万の単純労働者の導入のような思いつきとしか思えない提案が自民党の有力者から出てきたりするのだ。
 それで私の持論だが、超党派の立場で上記のような大きな問題を研究するシンクタンクの設置が必要と思う。(*注3)

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*注1<前原さんへの投書> 
*注2:<安倍さんへの提言>
       <安倍内閣に期待するもの>    
           安倍さんの理想と現実    
           私の安倍さん評(2)
*注3 その場凌ぎの政治から抜け出すために(3)