普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

日本と日本企業

2008-08-08 12:29:58 | 企業経営

[企業経営者の倫理感]
   私は6日の政治家や学者が言わない経済問題で、政治家、学者や評論家が経済問題を論議するとき、既知の事実と思ってか、それとも意識的かは知らないが、自説に都合の悪いことは触れない例を上げた。
 
 その中で、「経営者は必ずしも企業活動による社会貢献などの企業家としての倫理観を持っていない」ことに触れない例として、中国の台頭に伴う競争力の相対的低下→非正規労働者の採用によるコストカット→賃金格差の発生→通り魔事件など社会不安の発生と繋がっているのに、他人事のように考えているので、社会に対する影響を考えずに自社の利益のため為だけを考えて、簡単にコストカット出来る非正規労働者をどんどん採用し続けていると書いた。

[日本と日本企業]
 この問題を大きく捉えて日本と企業の関係で考えて見たい。
 政府の責任は、常識的に考えて国土を護ること、日本人の生命財産を護ること、日本人の生活を保証することだろう。
 そして日本人の責任はその政府の活動に協力することだろう。
 ここまではよく分かるが企業の国と国民に対する責任と言う事に対しては良く判らない。

企業の責任
 まして、経済のグローバル化が進み企業の事実上の国籍がどこにあるか判らない状態になって「日本と日本企業」の関係がいよいよおかしくなっているようだ。
 その第一の例が先に上げた、非正規労働者の雇用増加に伴う社会不安の増加について、企業やそれを統括する経団連(多分皆日本人)から何も意見が出ないことだ。
 それどころか、経団連はそれにも飽き足らずに悪名高い残業第ゼロ法案を政府に提言した。
 これは日本人の企業に対する忠誠心から自らサービス残業をする傾向が強いことを悪用してさらにコストカットをしようと言うものだ。

金型の図面の問題
 過去のことを言えば、中国に進出した企業が、下請けのノウハウが一杯詰まった金型の設計図面を、金型の製品と同時に提出させ、その図面を中国側の下請けにそのまま渡したそうだ。
 その一番の被害者は日本政府から生命財産(この場合は知的財産)を護って貰うはずの下請け会社だ。
 これらに懲りて、日本政府は「知的財産推進計画2004」
を発表して、知的財産の保護制度を強化の中でわざわざ(金型図面等の管理保護等を徹底する)の項目を入れねばならなかった。
 常識で考えると、政府から言われずとも、日本の企業が日本の競争力強化のために、知的財産権を保護しようと考えるのは当然だと思うのに、政府の指導を受けねば企業が動かないなど、企業の考え方は日本政府や日本人と完全に食い違っている。

国民を犠牲にした企業の優遇政策
 竹中平蔵さんは良く法人税を下げれば、企業が海外で蓄積した利益を日本に持ち込み、日本の経済が活性化すると言っているが。
 これを企業側から言えば、日本経済はどうなっても良い、自分たちだけが儲けをがっちり確保して生き残っても良いと言う事になる、それをどうするかは日本政府の責任だと言う事になる。
 これはまるでアパートの借家人が、家賃を下げ、設備を良くして貰わねばよそに出て行くと言う考えと同じだ。
 家主である日本政府は、一般住民の犠牲(法人税下げ→所得税増税の可能性、格差の発生に伴う社会不安などの)を払っても大手の借り主のために特別の計らいをしなければならないのだろうか。

企業活動を通じての社会貢献
 いくら大手企業の経営者と言っても、日本の住民としての責任がある筈だと思うのだが。
 企業経営者が日本人であり、日本に対して、愛着心があるのなら、その立場を護る一方日本のためになるのはどうしたら良いかを考えるのが当然だ。
 「企業活動を通じての社会貢献」が日本の企業の古来からの理念だった筈だ。

中国と日本の比較
 今、中国の産業界で大きな変化が起こっているそうだ。
 北京近くの大手の製鉄所は公害防止のために奥地に移転を余儀なくされているそうだ。
 海岸部の工業地帯では、従業員の給料が上がって採算が悪化し、従業員との間のトラブルが発生、それを抑えるために政府はそれらの工場の未開発地域の移転への圧力を加えている。
 そして手作業などに頼る効率の悪い工場が破産するまで放置。
 中国の技術力向上のために付加価値の低い外国企業の工場への特別な優遇処置の廃止と言う様に、中国政府は中国全体の発展のために強引とも思える処置を行っている。
 それは中国が独裁政権だから出来るのだ。
 
 然し日本の民主主義の国だ。
 それには国民やその国の企業の協力を仰がねば何も出来ない国だ。
 日本政府は伝統的な、大企業の発展→収益の向上→その効果が従業員の所得向上と下請けの業績向上→日本全体の経済の発展 の考え方で大企業への優遇策(企業側から言えば未だ足りないとおもうだろが)を取ってきた。
 然し事実は、下請けイジメ、史上空前の利益は株主の配当の向上と経営者の収入増に廻り、一般従業員の収入低下と国の優遇策の効果は現れないままだ。

企業経営者も日本人
 企業特に大企業の日本人経営者はグローバル化の名の元で俺たちは世界人など思っいる人達もいるだろうが、その一方で日本人としての意識を何時も持って行動して貰いたいものだ。
 そうでないと何時かは普通の日本人からの意外な反発が何らかの形で起こるかもしれないことを考えて置く方が良いと思う。

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