菊地三渓の詩に「半簾の斜月水よりも清く/絡緯声中夜書を読む」というのがある。"簾ごしに差し込む月の光は水よりも清らかで、クツワムシの鳴き声の聞こえてくる部屋で静に書物を読んでいる"というのでしょう。「半簾の斜月水よりも清く」この一文がいい。秋になるとこの詩がよみがえってくるのです。日本人の作った漢詩にも素晴らしいものが沢山ある。詩吟の楽しさは、そんな漢詩に出会えるところにもある。良い詩はいい、読んでも、吟じても楽しい。
明日から9月、中秋に入るのです。どうやら、今年の秋は天気も良く、長い秋になってくれそうです。夏がひどかっただけ秋が調整してくれるのでしょう。秋の長いのは嬉しいことです。
我が家の不満は、秋になっても虫の鳴き声が聞こえないことです。手稲に来た頃はまだ聞こえていたのだけれど、住宅街に為り空き地がなくなったら全く駄目に為りました。月だけは窓からでも、外に出ても眺められるけれど、虫の鳴き声が聞けないのは残念です。特に、私は、晩酌の酔い覚ましに外に出ることが多いのです。そのとき耳を澄ましても何も聞こえてこない、それがつまらない。
読書の秋と言いますが、読書とは縁が切れてきた。たまに必要に駆られて読んでもすぐ目が疲れ、読み続けるのに大変です。おまけにこんなブログを書いているから余計時間が無いのです。
時々、キリギリスの声を聞きにドライブに出てみたいように思うことがあるが歳のせいか、出かけるまでいかない。