旅路(ON A JOURNEY)

風に吹かれて此処彼処。
好奇心の赴く儘、
気の向く儘。
男はやとよ、
何処へ行く。

仕事と読書

2009年08月22日 23時00分06秒 | Weblog
何が解らないのか解らない状態から、何が解らないのか解る状態に進化を遂げた。ここまで解ってくれば万事、解らないことを解っているひとに聞けばよい。ようやく職場のメンバーのひとりになれたような心地がしている。なにはともあれ、旧態然と仕事を楽しんでいる事に変わりはない。

末端とはいえ担当する行政は皺の数がモノを言う世界だ。にもかかわらず故あって最大の集中力をもって最短で仕事をマスターしようとしている。膨大なマニュアルの山となお格闘中だ。もともと面の皮の厚さで勝負するというのが私の作法だから違和感がある。


混乱気味の頭を整理するために「岩波講座現代思想 8 批判理論」の目次に目を通していたら「初期批判理論と精神分析」とある。学生時代の教養ゼミでフロイトの精神分析を齧ったことがあるので無性に懐かしくなって読んでみた。

ところがその内容たるや、フロイト・フロム・マルクーゼ・ホルクハイマー・アドルノといった著名人たちの個人的な交友を淡々となぞっているだけで、最も重要であると思われる思想的な相克の原因を解明しようとする意図を感じない。羊頭狗肉ぶりにかなり落胆した。

世界の名著「フロイト」あたりを読めば済むような退屈な話を42ぺージにもわたってしたり顔で書き綴られた先生は、出版の当時、御年65歳である。東大出の学者にはこの手の客観性の罠に嵌った人畜無害な方が多い。

こちらはその昔、フロイトの「夢判断」に始まり「文化芸術論」を読み耽った。当時流行のフロム「自由からの逃走」、マルクーゼ「エロス的文明」も夢中で読んだ。なけなしの金をはたいて買ったものであるだけに、社会心理学に関しては相応の年季が入っているのだ。