旅路(ON A JOURNEY)

風に吹かれて此処彼処。
好奇心の赴く儘、
気の向く儘。
男はやとよ、
何処へ行く。

朱子学と陽明学

2009年08月11日 23時24分33秒 | Weblog
岩波新書「朱子学と陽明学」は儒学を理解する上で極めて有用だ。朱子学や陽明学の潮流について詳しいし、朱子や王陽明という思想家が出現した時代背景や先哲の影響についても明晰な検討を加えている。

王陽明が、「大学」「孟子」の解釈論を展開した思想家というよりも朱子以上に道徳を重んじた信念の人であったことを明らかにする。農民の蜂起を徹底的に弾圧した当時の陸軍次官王陽明は、中国共産党が依って立つ農民を弾圧した軍人であったので、中共支配下の中国では人気がないことにまで言及している。

学者の手によるものだけに曖昧さがない。安岡正篤の人生論ものより遥かに知的な文体で書かれていることを十分に読んで取れる。