この前少し書いたのだが、竹内真の「自転車少年記」しんみりと読みました。
多分単行本(左のやつ)が最初に書かれ、それが気に入らなくて、同じテーマで文庫本(真中のやつ)が書かれたのだろうが、、、、
単行本は期間が長く、登場人物も多いし、エピソードも盛り沢山、主人公も複数。作品にアイディアやプロットを詰め込みすぎた、誰かの下手なブログのエントリーと同じようなまとまりの無さだ。多分それを気にして、期間やエピソードを減らし、主人公を1人にして、同じテーマで文庫本を書き直したのだろうが、逆に文庫本の方は、水水しさが失われてしまっていて、私としては、欠陥はあるものの、単行本の方が良かったように思う。
気に入った文章を抜き出すと。
「自転車にはバックギアがない」
「どこまで走り続けることができるのか。何のために走るのか。そして、走り終えたら違う自分になれるのか。---こうして走り終えた今、その答えは見つかったんだろうか。 だけどもう、答えなんてどうでもよかった。あの山々を越えた、八王子から日本海まで自転車だけで走ってきた。それ以外に望むものなんて、何一つない。」
自転車に乗っていると、少年に戻るのか、いや、自転車に乗っているようなやつはいつまでたっても少年(少女)のままなのだろう。自分もいつまでも少年のままでいたいなと思わせる青春小説でした。
さらに同じ作者の「風に桜の舞う道で」も買ってしまった。こちらは予備校の寮の住人達の浪人生活と10年後を交互に描いたもの。文章はずいぶん読みやすくなっている。私も15人くらいの浪人の下宿に1年居たので、時間的には20年も違うが、共感できるお話であった。
うーん、真似をして、40年前1年間暮らした、あの三鷹の下宿跡でも探しに、自転車で走ってこようか?