マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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小林町新福寺観音堂オコナイ

2012年04月22日 07時46分49秒 | 大和郡山市へ
行事に先だって20本ものヤナギの木を調達してきた。

それはオコナイの勤行に際して奉られる。

処は大和郡山市小林町の観音堂。

お堂は真言宗豊山派新福寺の観音堂で創建はそうとう古い。

元禄年間に建立した杵築神社境内にあるお堂だ。

扉を開放することなく行われるオコナイ。

蝋燭の明かりに堂板のすき間からもれる外の光が堂内を荘厳に醸し出す。

正月始めに行われる初祈祷の修正会だが、当地は毎年3月3日だ。

春はうららか。梅の花芽もほころび始める頃だけに村の人たちは桃の節句とも呼んでいる。

祭壇にはお札がある。

「新福寺 寶印 牛頭天王」の書はいわゆるごーさんのお札。

中央には不動明王姿の朱印が押されている。

それは寶印。

「いつのころか判らないが牛玉宝印から牛頭天王に転化したのでは」と住職は話す。

杵築神社の祭神は素戔嗚命。

まさしく牛頭天王だ。

神宮寺であったと思われる観音堂。

お寺の行事であるオコナイは、いつしか神社祭祀の宮座(左座・右座)に移っていったのではないだろうか。

こうした事例は大和各地に見られる。

お堂に登った宮座の人たち。

いつもの顔ぶれだ。

オコナイは子どもが主役で行われている行事。

それゆえ学校が終わってからの時間帯となる。

この年は6人がやってきた。

堂内は狭くて20人も上がると座る位置も難しい。

子どもは内陣の縁を囲むように座る。

用意されていたフジの木を、早速手にするがまだ早い。

住職が「ランジョー」を唱えるときに叩くフジの木なのだ。



そうして始まった初祈祷の勤行。

数分後には焼香が回された。

身を清める意味があるという。

それからも続く読経。

20分も経過したころだろうか。

長いお経の途中で住職は子どもたちに「ここで叩くのだよ」と優しく声を掛けられた。

そうして発した「ランジョウ」。



それを合図にフジの木を激しく叩く。

心の内にひそめる悪魔を祓う作法だという。

バタ、バタ、バター・・・。

狭いお堂に叩く音が響き渡る。

さらにお経は全国の神さんの名を呼び出す神名帳へと移って「・・・春日大明神、大和、広瀬、龍田、大神、・・・ダイミョウジュン、ダイミョウジュン、ランジョー」。

カーンと鉦が打ち鳴らされ、縁を叩く行為によって村から悪魔を追い払う。

母親が抱く赤ちゃんも叩いている。



国家安寧、庶民の健康を願って本尊の観音菩薩に敬って申す。

「ダイミョウジュン ランジョー」・・バタ、バタ、バター・・・の縁叩き。

一般的なランジョウは二、三回であるが、子どもたちのためにと十数回も繰り返される。

鉦を連打されて終えた初祈祷はおよそ35分間。

悪魔を追い払って終えたオコナイは村の五穀豊穣を祈る行事である。

続いて唱えられた般若心経。

身体堅固、諸願成就、三界万霊、功徳など念仏を唱える。

そのあとは本尊観音さまの牛玉寶印を参列者の頭に押していく。



「オンソワカ」、手を合わせて身体堅固のご加持をありがたく受ける。

オコナイといえば御札の寶印。

それは厄除けの御札でもある。

5月初旬作った苗代にお花を飾って挿す。

豊作の願いがそこにある。

少なくなったが15軒の専業農家で挿しているという。

(H24. 3. 3 EOS40D撮影)


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