マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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上之町の小正月のカヤススキ

2014年07月04日 08時44分12秒 | 民俗あれこれ
昨年に伺った五條市上之町金光寺の檀家総代。

上之町では、数年前までは大きなとんどを燃やしていたと話していた。

とんどは1月14日であった。

竹を組み込んだ三角錐のとんどの先は葉っぱつきの笹だ。

頂点に綱を掛けて地面へ一直線に張るようにして、とんどが倒れないようにしていたと話していた。

今ではまったく見られなくなった上之町のとんどであるが、当時は焼けたとんどの火を家に持ち帰っていた。

火は神棚や仏さんのお灯明に移した。

オクドさんがあったころは火点けにした。

とんどの翌日の朝食はアズキ粥を炊いた。

食べる箸はオコナイで供えられたカヤススキであった。

現在は、オコナイをすることもなく大般若経の転読法要になっている。

箸代わりに堅いカヤススキの茎の部分で食べるアズキ粥。

穂は付いたままだった。

アズキ粥はビワの葉に乗せて供える。

総代の家ではしなくなったが、「近所でしているかも知れない」と話していた。

もしや、あるのではと近隣の田んぼを探してみた。

畦に立つ草の葉をカヤススキだと見誤ることもある。

徐行速度でのろのろ走る乾いた田園。

ふっと目に入った穂付きのカヤススキが見つかった。

立てたのはおそらく15日。

それから4日間も過ぎているが、穂付きのカヤススキは確かにあった。

本数は12本。

おそらく家族の人数分であろう。

どのお家でされたのか、近くにあったお家に尋ねた結果は「うちや」と答えた男性。

この日は休日。

たまたまお家におられた男性はサラリーマン。

平日のその日は出勤日。

「慌ただしくカヤススキの箸で一口食べた」と云った。

田んぼに立てていたことは知らなかったと云う。

「出勤後におばあさんが立てたもんや」と思うと話す。

しかも、「こんなことしているなんて知らんかったわ」と云う。

とんどはしなくなったが、アズキ粥を食べてカヤススキを田んぼに立てていた上之町の住民。

探してみればあるものだと思ったフィールド調査。

数日前に御所の鴨神や東佐味でもそのよう話題を聞いたので、来年も調査しなくては、と思った。

(H26. 1.19 EOS40D撮影)


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