マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
すべての写真、文は著作権がありますので無断転載はお断りします。

吉田岩尾神社の石売り行事

2012年12月29日 08時37分34秒 | 山添村へ
籠にお金を入れてもらえば石を後ろに投げると聞いていた山添村吉田の秋祭り。

平成5年に発刊された『やまぞえ双書』にその様子が掲載されている石売り行事。

籠は竹籠。

子どもは小学生で男の子である。

お金を入れているのは和服姿の婦人たち。

随分と前の村の様相である。

その行事が行われるのは岩尾神社。

イワクラ(磐座)信仰とされるご神体はまさに岩。

大きな岩は自然石で2体ある。

右側の岩を葛籠(つづら)石、左は長持石と呼ばれている。

急な石段を登れば眼前に迫る。

岩を背にして建てられた社殿。

まるでご神体を遥拝するような形態である。

石売り行事は葛籠石側下の玉砂利石を敷いた一角である。

一段あがった後方にはオトナ衆が座っている。

石売り行事の様子を伺っているようだ。

吉田は36軒の集落。

石売り行事を勤めるのは一歳から15歳までの男の子であったが少子化の波を受けて女の子も参加させるようにしたと云う。

川原で拾ってきた小石を竹籠に入れて参拝者を待つ子どもたちは5人。

決まった額の志納料を籠に入れる。

お礼に石を差し出すと『やまぞえ双書』に記されているが実際は後ろに向けて石を投げたそうだ。

拝見したときは既にその作法を終えていた石売り行事。

拝見していた知人によればそうであったと話す。

こうした行為で玉砂利が増えていくのであるが、そうであるなら増え続けた小石で山のようになるはずだが・・・。

それはともかく本殿では神事が執り行われていた。

丁度終えたばかりの時間帯。

取材の意図を申し出て承諾を得た行事の撮影。

急な申し出に応じていただき感謝する次第である。

石売り行事に続きがあった。

新米五合(やまぞえ双書では二斤)を入れた麻袋を首からぶら下げてお百度参りをするというのだが、それはあっという間の展開。



ぐるぐる回っていたのかどうかも判らなかったが子どもたちは三往復したようだ。

お百度参りを終えた子どもたちは再び石売りの場に座る。

そこに当屋からいただいた駄賃を紙袋に入れた区長らが配っていく。



一人、一人に差し出す駄賃を籠の中に入れる。

お百度参りのお礼のように思えた作法である。

しばらくすれば御供されたモチを撒く。

それを楽しみにしていた参拝者。

放り投げるモチに手をあげる。



モチをゲットするのも楽しいが、投げる方も楽しいと話す。

神さんに供えた神饌御供はゴマメに新藁で結わえた乾物イワシ。

3個のサトイモの汁椀と7粒のエダマメ。

中央にはキナコを振り掛けた丸モチである。



参拝者は御供の一つであるセキハンもいただく。

ネムの木の箸で受けるのは手の中。

手受けは手御供とも呼ばれる地域がある。

(H24.10.21 EOS40D撮影)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。