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マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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池田のタイマツ

2013年12月14日 09時08分28秒 | 奈良市へ
八島町の檀家参りのチャンカラカンが一旦小休止された時間帯。

隣村の池田町を訪れた。

高さは人の倍以上もあるタイマツ。

ほぼ寸胴型に組みあげた。

タイマツを作る時間帯は八島町で取材中だった。

一度は拝見したいものである。

池田町では何年か前から熊野神社の年中行事や公民館で行われる尼講が営む西国ご詠歌や数珠繰りも取材したことがある。

年中行事には御田植祭に珍しいシトギを供える行事もあれば、ササゲゴハン・茗荷と南瓜豆の串差しを供える八朔祭、豪華な盛りの当家御膳がある当家祭もあった。

これらは平成20年から21年にかけて中断された。

随分と寂しくなったものだと最後に当家を勤めたNさんが嘆いていた。

そのNさんが亡くなられたことを知ったのは、4月末に苗代作りをされていた隣町の今市住民のMさんからだ。

最後にお会いしたのは平成23年11月16日のことだ。

この年より始まった県立民俗博物館の主催事業である「私がとらえた大和の民俗」写真展

熊野神社の当家祭の当家御膳を作っている作業風景を記録した一枚の写真。

記念に図録をさしあげて喜んでいた顔は今でも心の中に焼きついている。

池田のタイマツを拝見しながら、そのときのことを思い出した。

タイマツのてっぺんに火を移すのはナタネの殻(現在は小麦藁)だ。

長い竹の棒の先端に括りつけている。

煙が出だして炎が噴き出した。

まさにタイマツの姿である。

ときおりポン、ポンと竹がはぜる音がする。

夕日があたり金色に輝く池田のタイマツが燃え続ける。

燃え上がった火がボロボロと下に落ちる。

そのとたんに倒れた大きなタイマツ。



倒れる方向によってその年の収穫を占ったそうだ。

あれほど大きなタイマツ燃え尽きるのは早い。

その場は翌朝に各家で祀られた先祖さんを燃やす場になる。

Nさんも先祖さんとなって昇天したのだろうか。

(H25. 8.14 EOS40D撮影)