マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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瀧倉瀧ノ蔵神社風鎮祭

2013年12月30日 08時38分10秒 | 桜井市へ
瀧倉では盆入り前の1日から7日までの毎日、上六人衆が瀧ノ蔵神社へ朝、昼、晩に参って太鼓を打っていた。

かつては12日まであった。

13日は瀧倉の盆入りで先祖さんやガキンドを祀る。

それから2週間後の26日に行われる千灯明。

それをショウリョウオクリ(精霊送り)と呼ぶようだ。

桜井市の山間、上之郷の村落のひとつになる瀧倉を訪れるようになって7年目になる。

ずいぶんと前に聞いていた瀧ノ蔵神社の風鎮祭をようやく拝見することになった。

到着したときには、既に神事が始まっており、六人衆は三巻の般若心経を唱えている最中であった。

参る場は拝殿、前庭の向こうに本殿がある。

ご祭神の三神を祀る三間社・流造は朱塗りの本殿で一段高い地にある。

かつては本殿下の前庭で踊っていた。

中央に踊り場を設けて、その周りを踊る村人たち。

当時は近隣他村からも大勢がやってきて踊っていたという。

一老が若かかりし青年の頃だと云う時代は、今から70年も前のようだ。

いつしか踊ることもなくなったが、その場には四方に笹竹を立てている。

この年は風水害もなく、穏やかだったと話す。

拝殿中央に設えたローソク灯し。

いつもの通りの7本に火を点けて般若心経を唱えていた。



神々しいぃ灯しはそのままにして直会の場となる参籠所に移った。

しばらくの間は村人たちの会食時間。

夜更けの団らん時間の瀧倉は特に冷え込みが厳しい。

それから1時間半余り、「そろそろ始めようか」と村の行事の千灯明が始まった。

場は本殿下である。

二つの狛犬の台座に板を渡す。

そこへ立てたやや小さめのローソク。

参拝者一人ずつが1本、一本を立てて火を点ける。

小さなローソクに点けては次の一本。

ずらりと並んだ3列の灯りはゆらゆらと風に揺れる。

消えれば再び火を点ける。



この日の行事は風鎮祭。

風に耐えるという願いは豊作への祈り。

ローソクは実った稲穂。

揺らす、消す大風は吹き荒れ、稲を倒す。

風には負けなたくないという風鎮めのローソクの灯りは実に幻想的な光景になった。

千灯明はそれほど多いという意。

百灯明とも呼ぶ地域もあるが、瀧倉では「お盆の送り火」だと話す。

「8月1日から12日までの毎日は、上・下の六人衆が交替して神社で太鼓を打って般若心経を唱えていた」。

数日前に伺った二老の話しである。

お盆に入った13日はめいめいが神社に参る。

14日は先祖さんの位牌を座敷に並べ、ガキンドにもお供えをする。

いわゆるオショウライさん迎えだ。

翌日は送りをする。

それは各家で行われる盆迎え・送りの在り方。

この夜の千灯明は村の盆送りだと話す言葉に納得する。

(H25. 8.26 EOS40D撮影)