「かたちなく」 20220708

 

 

 

一つの意志がそこにないとき
関係の原理はそのつどの結審の連鎖として動いていく

通りすぎることはできる
はじめからなんでもなければそれでいい

通りすぎれないものがあるとき
いまここを照らす光が要請される

そのつどの光ではなく
永続する光、世界を掘り返して照らし返す光

　「家族でさえ合意によらなければ維持されないのである」
　　　　　　　　　（ルソー『社会契約論』井上幸治訳）

関係をつくる層は一つではなく、関係の外には多層の現実が広がる
関係を結びあわせるものとは別の関係の層、生きられる多くの層がある

生の全域、全航跡、全時間を明示的に捉えることはできない

そのつど生きる主題は浮上し、ある層が選ばれ、そのつどの意志が励起する
ある主題の浮上とともに、一つの場所に留まる理由が消えることがある

結びあわせる糸がほどかれ、別の位相へ結び直される
この移行において失われるもの、得られるもの、保たれるもの

転移の意味を問うことなく通り過ぎることもできる
そのつどの生の主題はそうすることを求めない

かたちなく結ばれ、かたちなくほどかれ、かたちなく結び直されていく

全体の動向をかたちあるものとして捉えたいと願うとき
そのつどの心と主題に含まれない別の主題
関係の原理が求めない主題と意志を心はみずからに要請する