"犯罪"とは、実は"探求"同様、行為の組織法に他ならない。
したがって行為を処罰して犯罪が消滅すると期待するのは浅薄である。
犯罪学と名のる学問は、こんな単純な論理階型の誤りから、
何千年もの間抜け出していないのである。(ベイトソン『精神と自然』佐藤訳」
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「いけないことはいけない」という意識優位の思考レベルA
「わかっちゃいるけどやめられない」という前意識優位の思考レベルB
ふたつの異質な思考レベルが合流する位相に人間的実存が生きられていく
あるエラー、まちがい、逸脱、ルールの侵犯があるとき
倫理的なコードによる修正要請や命令、それと結びついたペナルティによって
人間の〝まちがった〟行為を修正へ導くという方法は思考レベルAに属する
かりにこの〝エラー・まちがい・逸脱〟が思考レベルBに由来するものである場合
倫理的なアプローチではこの〝行為の組織法〟そのものに手を触れることはできない
そのつどの強制力によって修正を促すことはできる
けれども〝行為の組織法〟そのものの根本的な修正は困難である
命令しペナルティを与えることとは別の修正へ導く方法はあるのか?
「ある」というのがベイトソンの解答
そのキーはA・Bを包括する思考、上位コンテクストへのステップ・アップにある