ASAKA通信

ノンジャンル。2006年6月6日スタート。

「多重記述 Multi-Description」  20200803

2020-08-03 | Weblog

            https://www.youtube.com/watch?v=QzIXi94TkUg

 


多重記述──単眼と単眼が出会い
重なりあうことから両眼視野が生まれる

きみが右の眼、ぼくが左の眼だとしよう
左右の視覚が重なり、生まれるものがある

一つのまなざしでは実現できない
世界になんらかの〝奥行き〟が加えられる

人と人との関係において
それはダイアローグと呼ばれる

「ああいえば、こういう」

そんなシンプルなやりとりもある
つねに率直であることはむずかしい

けれど、そうではないちがったやり方もある

新しい音楽を生み出すアンサンブルとして
それぞれのパートを生みだすパートナーとして

世界記述の代えがたい資源として
お互いがお互いを
丁重にゲストとして迎えるやり方もある

さらに、別のマイナーな形式も存在しうる
そのことに思いつきだけど気づいた

つまり、ひとりの人間のなかにも多重記述の資源は存在する

個人としての歴史、固有の世界経験の歩みは多重に刻まれ
メモリに保存されている
これを複雑な多重のトラックが存在すると考えてみる

きのう、あのとき、このとき、あした、いつか、どこか
春、夏、秋、冬、時間の流れ、世界の光景
知覚、感情、思考、記憶、イメージ、出会い、わかれ

それらを資源として、引き出し、重ねあわせるように
「いま、ここ」を構成するアンサンブルとして用いてみる

多重トラックはすでにメモリの中に用意されている
これをうまく構成するためには一つだけ条件がある

それぞれのトラックをわけへだてなく
どれも欠かせないパートとして迎え入れること

そして、それをすべて同時に鳴らしてみる──

目的はただ一つ
すべてが等しく支えあい、奏でる新しい〝音〟
新たな世界の〝奥ゆき〟に出会うことにある

 

 

 

 

 

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