展開形のままに──
集合的に保持される世界記述の確定項から逆算するように、
「いま・ここ」のみずからの記述を確定するのではなく、
「いま・ここ」の展開と拡張可能性、推進力を増すように記述すること。
あらゆる存在の世界経験は、
自前の世界記述と並走している。
「肯定-否定」「善-悪」「真-偽」「愛-憎」「美-醜」
現実をコードする固有の記述形式において、
世界を分節し、経験を記述しつつ生きる実存の展開がある。
自己記述、他者記述、関係記述──「世界はこうなっている」
世界を記述しつつ経験するということ。
それは経験からそのつど何らかの〝結語〟を結び、その記述の累積から、
教訓を生み、育て、予期あるいは憧れを立ち上げ、
新たな「ありうる」(存在可能)をめがけて駆けることを意味する。
すべては新たな「ありうる」の展開にかなうように。
さらには、新たな記述形式の更新、探索に開かれてあること。
集合的に記述された一般命題──「かくあるべし」「かくなすべし」。
一般命題すなわち合意項・禁則項・許可項の集積としての社会体。
社会体の帰属主体としての「個」ではなく、
社会体の更新主体としての「個」──すなわち展開形としての「個」のままに。