ASAKA通信

ノンジャンル。2006年6月6日スタート。

「ニーチェの言葉」 20200208

2020-02-08 | Weblog

        *
真理は醜い。私たちが芸術をもっているのは、
私たちが真理で台なしにならないためである。(ニーチェ『権力への意志』原佑訳)
        *

知っている、わかっている、わすれてはいない
おれたちは真理に愚弄され、ずっとたぶらかされてきた

真理はつまらない、クソのにおいがする
おれたちは真理にたどりつくために生まれてくるわけではない

真実ってなんだ、カミか、ホトケか
世界のはじまり、すべてのおおもとか

そうじゃない、その逆だ

むしろ生みの親はおれたちだ
おれたちが先に生まれ、真理を産み落とす

子は母を産むことができない──
これは真理ではない、原理さ

真理は人間の数と同じだけ生まれる
産み落とし、それを真実と名づける事実があるだけだ

あとから生まれながら
おまえたちを生んだ、従えとのたまう

おれたちの生は真実に台無しにされてきた
台無しにされっぱなしでいいわけがない

わかるか、わかれよ

真理に目がくらむクソが星の数ほど生まれてきた
大量発生してクソのことばで世界を埋め尽くす

この逆転の構図、逆規定のからくり
それがすべての惨劇をつくってきた

要請-命令-操作-制御-専横-蹂躙-絶対支配
すべては真理の僭称と独占と脅迫からはじまる

おれたちは知る必要がある、知って暴かなければならない
したり顔で、わけ知り顔で、真理を語るクソの動機を
そのうらに隠されたほんとうの目的を

おれたちの心がたどりつきたいのは真理ではない
おれたちの生はそんなふうにはできていない

真理に沸き立つ生は存在しない
からだは別の原理で動いている

ステップの踏み方はからだが決める
ステップもジャンプもそのつど
からだが沸き立つ方角へ向かう

それを知り、決めるのは真理ではない
おれたちのからだだけがそれを決める

ただ一つ、真理の適切な用法がある

星の数ほどある真理を串刺しにする真理
支配と専横に走る真理の本質を知り
そのことを決して許さない、そう心に決めた
からだを守ることに徹した、つつましい反-真理
  *
からだのメッセージは明示された言葉としては現われない
ざわめき、もやもや、いらだち、ためらい、ふるえ、ゆらぎ
それはつねに真理として確定されることを拒む表情をしている

ノイズとしてすべて切り捨てることもできる
耳をふさいで〝自由を呪う道〟も人間世界には開かれている
いやだね、からだはいつもそう断言する生を生きている

 

 

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