空気が、重くて暑い一日。
三千世界の鴉を殺し、主と朝寝がしてみたい・・・。
・・・高杉晋作の都々逸ということですが、この三千世界・・・たぶん、この世の全て・・・みたいな意味なのでしょう・・・。
この広すぎる世界から、朝、けたたましく鳴く鴉を一掃して、誰にも邪魔されず、好きな女性と過ごしたい・・・ってことなんでしょうね・・・たぶん。
かなり、昔ですが、『世阿弥』という演劇を見たとき、
『三千世界に火を放ち、思いのままに舞い狂う・・・』
という科白(歌)を歌う白拍子が出てきて・・・コレが、白拍子だったのか、只の芸人だったのか、記憶が遙か遠くて、そして、この舞台を見ながら、寝てしまったという不覚。
『三千世界に火を放ち、思いのままに舞い狂うだと・・・?仏の世界を焼き尽くすとは、なんと、気の強い・・・。』
そんなふうに続いたと思うのですが・・・。
この世の全てを焼き尽くしてまで、舞い狂うのは、好きなおとこ(世阿弥)のためだったのでしょうか?
8月は、世界で初めて、民間人の住む地上に原爆が、落とされた月でもあります。
つかこうへいさんの戯曲『ヒロシマに原爆を落とす日』の中で、原爆投下のスイッチを押した犬子恨一郎の
『愛するおんなの上に原爆を落とす・・・』
というモノローグがありました。
原爆投下のスイッチを押せる人間とは、一体、どんな人間だったのでしょうか?
全てを、地獄の業火で、焼き尽くす・・・。
愛するおんなさえも・・・。
愛するおんなは、自分の手で、葬る・・・それが、彼にとっての三千世界に火を放つ・・・ということになるのでしょうか・・・。
三千世界という仏の世界を焼き尽くしてまで、そこの棲むすべての鴉を殺してまで・・・得たいものは、一体何だったのでしょうか・・・。