北海道マラソンファンランの話です。
体調不良だけど、とりあえず3㎞走ってみるかと並んでみた。
なぜ3㎞かというと、カラダが走るモードに切り替わるのに3㎞くらいかかり、
スタート直後に「あ、こりゃカラダ重いわ、だめだわ」なんてどうしようの渦に巻かれても、
意外と2,3㎞走るとなんともなくなっていることが9割くらいだったりする。
ところが、残念ながらこの日は9割じゃないほうだったようで、
中島公園付近で脇腹痛まで始まり、痛さのあまり歩いてしまおうかと。
この3㎞付近というのが毎年ぽつぽつ歩き始める人がでる地点でもあるのね。
練習不足だったり、慣れてないのかオーバースピードでもたなくなる地点なのか、
もちろん体調不良の人も含まれているのでしょうけれど、
ここでへんな意地がでてしまい、だって普段ならこれくらいまるっきり平気な距離なわけで、
あんなに練習してきたのにたった3㎞で歩きはないでしょやと、鞭打って走る。
私、こまめに時計を見るほうなんです。
1㎞ごとに、速すぎてないか、逆にのんびりしすぎてないかチェックし修正する。
ところが大会当日は、スタートライン通過時とゴールの2回しか見ていない。
関門時間のチェックさえしていない。
集中力なし、ひたすらつらいのみ。
1㎞ごとの標識だけはしっかり確認していたけれど、時間を追うような状況ではなかった。
5㎞あたりに救護車が停まっていて、乗ってしまおうかという考えがアタマをよぎる。
でも5㎞すぎたら下りになるはずだし、給水所でスポーツドリンク飲める。
アタマの中は苦しいつらい歩きたい、このことばかり。
この日はそんなに気温は高くなかったし、
普段これくらいの距離を走るときはよほど暑いときでなかったら途中で給水はしないのだけど、
今思うと軽い脱水もあったのかもしれないなと。
前日ほとんど寝てない、嘔吐、胃の膨満感、朝食もいつもの半分も食べてない。
給水所でスポーツドリンクをゲットし、むせないよう、このときはしっかり歩いて飲んだ。
このまましばらく歩いちゃおうか、縁石に座ったら気持ちいいだろな、
なんて紙コップ片手に歩いていると、
ぱっと、なんていうのか、
「あ!」と閃く、私のどこかにズンと響く人がたんたんたんと走っていく姿がみえて、
「あ、この人だ!」と、コップをゴミ箱に投げいれ、後を追うことに。
じりじりじりじり距離を狭め、後ろ3mまで追いつく。
私と同年代かもう少し若いか、綺麗にブレのないフォームで淡々と刻んでいて、
腕も脚もきれいな茶色に焼けていて、そのしまった身体や脚や軸を見る限り、
かなり走っている女性のようで、
にしては運のいいことに私とほぼ同じか私よりもちょっとだけ遅いペースで、
ああ、この人に引っ張ってもらおう、この人の後ろを走らせて貰おうと決め走り続けるものの、
次の給水ではぐれてしまい、あああと身も心も萎れそうになったとき、
また彼女が、ピンクのウエアがたんたんたんと横を走っていったのね。
もう彼女しかいない。
私の女神さまだ。
あとは女神さまの後ろを、たまに私が前にでることもあったけど、
8㎞9㎞10㎞11㎞と彼女から離れないよう、ただただ足を前に出し続けた。
あれだけ練習したのに、淡々と走りたかったのに、うまくいかないものですね。
道庁あたりで女神さまはペースをあげ、
さすがに最後までついていくことはできなかったけれど、
どうやら10秒差位でなんとかゴール。
その後娘と合流、写真を撮っていると、なんと私の女神さまが横に立っていて、
咄嗟に声をかけてしまった。
私が後ろについて走っていたことを嫌がるそぶりもなく、
おまけに一緒に写真撮りましょうよとまでいってくれた。
女神さまとの写真あるのだけどね、
いやぁ、本当素敵なかたなのでバーンと公開したいのだけれど、
了解も得ずに突然女神さまとして載せられても困るだろなと、ここでは控えることにします。
彼女が私の横を走り抜けなかったら、もっともっと苦しいファンランになっていたと思う。
ファンランじゃないってね、全然ファンファンファンではない、北海道マラソンSMラン?
ああなんて本番に弱いんだろう。
北海道マラソンは緊張の度合いが高いのか、どうもすっきりしない。
もう二度と走るものかと何度も何度も思ったけれど、このまま辞めるのも惜しい悔しい。
でも、いやぁ、女神さまって本当、いるんですねー。
来年も逢えるかな。