最新の治療法など、地元の医療情報を提供する「メディカルはこだて」の編集長雑記。

函館で地域限定の医療・介護雑誌を発刊している超零細出版社「メディカルはこだて」編集長の孤軍奮闘よれよれ・ときどき山便り。

日本慢性疾患重症化予防学会の第1回道南支部総会が開催される

2016年09月28日 13時27分13秒 | 講演会・勉強会
24日は日本慢性疾患重症化予防学会(平井愛山理事長)の第1回道南支部総会が函館五稜郭病院で開催された。
当日は午後5時から約4時間の長丁場だったが(8人が講演)、まったく飽きることはななかった。
今回のテーマは「糖尿病性腎症 重症化予防の最新動向」。

日本慢性疾患重症化予防学会の道南支部キックオフセミナーが開催されたのは昨年1月。全国で最初の立ち上げとなった同支部は、函館稜北病院の佐々木悟副院長が呼びかけたものだ。

これまでの日本の医療・介護システムは、慢性疾患の重症化した患者を来た順に対応するというセーフティーネット型で運営されてきたが、このシステムではもはや高齢者を中心とする地域住民のヘルスケアを守りきれない状況だ。慢性疾患の重症化を地域ぐるみで防止し、介護度の上昇を地域ぐるみで防止するには新たなインフラ型へのパラダイムシフトが必要になっている。
さらに高齢者に多い慢性疾患に対しては、慢性疾患の重症化防止や合併症予防を目的に、医療職だけでなく介護職や行政職も含んだ地域総力戦を支える体制も必要だ。そのためには地域の慢性疾患全体の見える化を図り、地域のヘルスケアに関する関係者を集めた連携体制とすることが課題となっている。
同学会の特徴は「疾病管理MAP」と呼ばれる患者層別化データベース、それと医師や看護師、栄養士、コメディカルなどの多職種による連携協働による従来の臓器別や職種別ではなく、まったく新しいスタイルで臨床エビデンスを創出することにある。

「一般講演」では函館稜北病院と函館五稜郭病院の取り組みについて、函館五稜郭病院医療総合サービスセンターセンター長の船山俊介さんが「頸動脈エコーと320列CTを活用した症候性冠動脈疾患の地域連携」、函館稜北病院医事課の中尾健さんが「疾病管理MAPとΔeGFRを活用した急逝進行性糖尿病腎症患者さんの層別抽出方法」、函館稜北病院検査課の滝沢智春さんが「推定塩分摂取量とソルセイブ閾値の二次元プロットについて」、函館稜北病院看護部の髙橋友美さんが「推定塩分摂取量と塩分交換表を活用した減塩指導について」、函館五稜郭病院栄養課の工藤茂さんが「地域ぐるみの減塩を目指す減塩サポーター構想について」と題して、それぞれ講演をした。

「教育講演」では、「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」の策定と最新動向について、日本慢性疾患重症化予防学会の平井愛山理事長が、プログラム対象者選定の考え方や市町村における対象者抽出のフロー、重症化予防の取り組みに係るアウトカム評価の考え方などをかわりやすく解説した。

「特別講演」は、八田内科医院(京都市左京区)の八田告院長と大阪医科大学付属病院慢性疾患看護専門看護師の井上智恵さんが、それぞれ「糖尿病性腎症重症化予防としての減塩の役割」、「減塩教育入院における看護師の役割」と題した講演を行った。
八田院長はNHK「ためしてガッテン」やテレビ東京「主治医が見つかる診療所」のテレビ番組に出演するなど、腎臓や透析、高血圧、循環器を専門とする著名な医師だ。


八田内科医院(京都市左京区)の八田告院長。



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