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英雄のつくられ方4

2008-05-30 17:01:08 | Weblog
写真は徳欽周辺の道路工事をする人たちの子供。家族で工事現場にテントを張り、山羊の面倒をみながら、子供と暮らす人たちもいた。

【山の上の学校】
 その後、希望者10人ほどでシャングリラから徳欽へと車で移動した。その車中、彼は私の隣に座り、私を一度も見ることもなく、窓の外を見て、みんなに説明をしては、私の肩に体重をもたせて、ぐっすりと眠る、その繰り返しの一日だった。

 深い谷をみると、
「あの崖の上の建物には、チベット仏教のお坊さんが文字などを教えている。成人女性もけっこう、通っているんだ」

同乗したNPO関係の若者たちは
「えー? どうやってあの崖を毎日登るの?」

 学校のない村での教育状況には、とにかく詳しかった。心の狭い私はそのときはひたすら「せめてすみません、ぐらい、いってくれないかなあ」と考えてばかりいたのだ。

 やがて徳欽につくと「今日は街の図書館に寄って、友達の家に泊まる」と言い残し、さっさと消えてしまった。それきりだった。


 とにかく私には、不遜なほどの自信家さん、という強烈な印象ばかりが残り、周囲の目も「明永村で学校の先生をやっている」という認識以上のものはなかったのである。

 それは彼の家族も同様のようだった。雲南省副書記が彼の家に行方不明となった10日後に感謝状を送ったとき、彼の家族は心底驚いたらしく、母親は「次男がそんな立派な仕事をしているなんて知りませんでした。とにかく、いまはそっとしておいてください」と控えめに述べるのみであった。
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