たにしのアブク 風綴り

86歳・たにしの爺。独り徘徊と追慕の日々は永い。

鳥が止まる「電柱」が面白くなる本――「電柱鳥類学」

2021-03-16 11:07:42 | 本・読書
令和3年3月16日 鳥は電線にどうして止まる??
止まって何をしている? 感電して落ちないの?
この本を読んで、新しい視線の先が増えました。

「たにしの爺」は何もすることなく無為の日々です。
徘徊逍遥が日課で季節の気配とお日様と風が友です。
これからは電柱を見上げるのが楽しくなりそうです。

三上修著「電柱鳥類学」(岩波書店)を読んだ。
「電柱鳥類学」とは鳥類学者の著者が造った「研究フィールド」。
要するに「電柱」と「電線」に止まる鳥を「面白がる」研究です。
そのためには「電柱」と「電線」を良く知らねばなりません。

本書の前半は「電柱と電線の基礎知識」が詳述されます。
街中、里山で見かける電柱、電線、配線や仕組みを、
「口絵」や「図解」入りで解説します。
「へーそうなんだ」「そんな仕組みか」なんて……。



本書を読んでから早速、徘徊の途中、
電柱に注目してみました。写真も撮りました。
鳥が止まっている光景は見られませんでした。
カラスが居た個所がありましたが、飛んで行ってしまいました。
それにしても、住宅街からスズメが居なくなったなー。



鳥たちが「電柱・電線」を棲家にするようになったのは、
日本では明治以降でこの先、電柱の地中化が進めば、
「電線のカラス、スズメ」は見られなくなってしまう。
いま生きている私たちは、貴重な歴史的風景を見ている、
そういう時間の中に居ることに「幸せを感じ」ませんかという。



都会に進出した鳥にとって、電柱は木であり、電線は枝になる。
電線に止まるベストスリーは、季節にもよるが、
スズメ、ムクドリ、ツバメ、ガラスが目に付くという。

電線とは「有線でインフラを引く」ために設置された施設。
電柱の種類、電信柱、電力柱、共用柱で、電線の配線は上から、
架空地線、高圧線、低圧線、通信線、引込線、腕金、碍子、変圧器、
これらの機器を支える「支柱・支線」からなっている。



主に電柱に巣をつくる、巣場所にしている鳥はスズメ、カラス。
電柱の付属物、腕金、変圧器の穴部分を利用するのがスズメ。
巣を載せるのはカラスなど体の大きい鳥で、集めてきた巣材を使う。
金属ハンガーなどがあると、感電して停電になる。

カラスという鳥は居ないという。
「ハシブトカラス(ブト)」はカー!と鳴き。
「ハシボソカラス(ボソ)」はガー!と鳴く。
電柱に巣をつくるのは主にボソで、巣が見えても気にしない。
ブトは巣が見えないように気配りする習性があるようだという。



電力会社は「電柱施設」に巣をつくられないよう、
さまざまな「知恵」を凝らしている。
「腕金の端を塞ぐ金具」、支線に付いている「蔦返し」「ヘビ返し」など、
生き物から電柱を守る構造上の工夫や共存も考慮している、という。



「たにしの爺」の周辺には最近、スズメが居なくなりました。
カラスばかりが目に入ります。
朝ゴミ出しに行けば集積場の近くに止まっています。
夕刻になれば、高圧鉄塔に群れて止まっています。



電線に止まって何をしているのか。???
遊んでいる。景色を眺めている。友だちを待っている。
そして最大の疑問、「鳥は感電」して落ちないのか??
なーでか。

まぁ、本を読んでみて。えっッ「知りたいって」
それはねー、電線が被覆されているから、
鳥の身体は電気を通さないから??です。

岩波 科学ライブラリー
「電柱鳥類学――スズメは何処に止まっている?」
2020年11月25日 弟1刷発行