日本海の北海道南下の旅は積丹半島に入りました。
余市の市街を後に海岸に出ると、雨がバスの窓に吹き付けています。
空も海も暗くなってきました。
バスは海岸から丘稜を捲くように岬に出ました。絶景地・島武意岬です。
岬に一軒だけの食事処「鱗晃」で海鮮うに丼を食しました。
「積丹生うに」のシーズンは8月までという女将の説明で、
一度蒸してありますという。
チョッと残念でしたがしょうがありません。
食事を済ませて広場に出ると、なんと、雨はすっかり上がって、
青空が広がっているではないですか。
レストハウスの脇から、積丹岬遊歩道を数分上がると、
眼下に海を見下ろせる崖に出ました。
覗き込むように見下ろすと、
積丹ブルーと呼ばれる蒼い海が広がっていました。
「日本渚百景」に指定されている積丹岬の景勝地・島武意海岸です。
本来、この海岸へは小さなトンネルを通って行くのですが、
爆弾低気圧の嵐で通行不能になっていました。真っ暗なトンネルを抜けると、
目の前に屏風岩と積丹ブルーの海が一面に広がる、
という按配になっているそうです。
「生うに」もはずれ、絶景観賞もはずれ、
まあ、しょうがありませんね。雨が止んだだけで良しとしましょう。
バスは丘陵を降りて海岸に出ました。
日本海の荒波に削られた海食崖の海岸が続きます。
長いトンネルや短いトンネルが続きます。
突き出た海食崖には使われなくなったトンネルがあります。
多いところでは3通もあります。
一番海側の穴は小さく人とか荷車が通れるくらいです。
少し陸側にある穴はようやく車が通れるくらいです。
私たちのバスが通っていくトンネルは大型バスが2車線通れます。
幾つかのトンネル跡が、岩と崖の海岸交通の歴史を物語っています。
また、美国海岸の道路わきには「番屋」が幾つも残っています。
サケが川面を波立てながら遡上する河口に掛かる橋を通り抜けました。
海岸に並ぶ奇岩と果てしなく広がるブルーの海を見ながら、
今回の旅の到達地点・神威岬に着きました。
晴れて雨は止んでいるが、
バスを降りると岬を席巻するように烈風が身体に当たって来ます。
衣服が飛ばされないように岬への坂を登ります。
神威岬は積丹岬と相対して突出した岬で、
北前船が往来していたころは、
日本海最大の難所で約80mの海蝕崖が続き、
その沖には海蝕による奇観・岩礁が連続しているという。
岬の先端への探勝路は崖の上を細く続いています。
この日の到着時には強風による危険で探勝路入り口になっている、
伝説の「女人禁制の門」は閉じられていて、
入ることはできませんでした。
いつかこの門から先に行ける機会ができることを願って、
旅のレポートを終わることにします。
これまで海とは全く関わりのない生活で、
日常で海を感じる生活体験のない「たにしの爺」
この先、湧水田の泥の中でたそがれる運命です。