予備士官の差別とツマベニチョウ

今日は終戦記念日なので太平洋戦争中にあった予備士官（学生が召集されて任官）と陸軍士官学校、海軍兵学校（海兵）出身の正規士官との間の差別のことをツマベニチョウの写真と一緒に紹介しましょう。・・・ツマベニチョウの♂

徳山沖大津島の回天基地では、海兵出身の士官が下士官搭乗員を前にして「海兵出身者（正規国家公務員）を人間魚雷回天搭乗員として使うのは勿体ない」と言っていたと、予備士官だった武田五郎氏は著書に書いています。・・・ツマベニチョウの♀

また昭和20年4月、戦艦大和沖縄特攻作戦に際し、第二艦隊司令長官伊藤中将と戦艦大和有賀大佐は、16歳の少年水兵や任官したばかりの予備士官を特攻艦隊に残し、海兵出身の新任士官（少尉候補生）を退艦させています。・・・ツマベニチョウの♂（上）と♀（下）

少尉候補生が戦力にならないのであれば、少年兵や予備士官も同様で、当時乗艦する艦船を失って陸上で勤務していた多数のベテラン海兵出身士官を動員、最後の決戦を挑むのが帝国海軍の姿ではないかと武田五郎氏は書いています。・・・ツマベニチョウの♂

さらに昭和20年7月、第903海軍航空隊の参謀、橋本重房中佐（海兵出身）は、北海道千歳基地に全搭乗員を集め、「予備学生（予備士官）並びに予科練出身（下士官）の搭乗員は、敵船団が我が国200海里まで接近した時には、まず一番に飛び出して（特攻攻撃で）これを撃沈する」・・・ツマベニチョウの♀

「我々海軍兵学校出の士官（正規国家公務員）は、（優秀なので生き残り）事後の大日本帝国の再建に挺身する」と本土決戦に向けての航空隊出撃要領を説明しています。・・・ツマベニチョウの♂

第903海軍航空隊の野元為輝少将（1894～1987年）もこれを了承していたようですが、説明を聞いた予備士官達は激怒したそうです。吉田　裕さんの著書「アジア・太平洋戦争」には、特攻で戦死した海軍士官の85％が学生を急遽動員して任官させた予備士官だったとあります。・・・ツマベニチョウの♂

莫大な国家予算を要求して軍備を増強した海軍は、真珠湾攻撃で国民を対米戦争に引き摺り込み、戦局が悪化した際には「お前たち国民は死ね。自分達（国家公務員）は、日本再建に必要な優秀な人材なので死ぬわけにはゆかない」と考え、それを実行していたのです。・・・ツマベニチョウの♀

同じＤＮＡを受けついでいる現在の国家公務員も有事の際に同じ行動に出る可能性があることを政治家と国民は考慮しておかなければなりません。・・・ツマベニチョウの♂

 参考文献：アジア・太平洋戦争　吉田　裕著　　：回天特攻学徒隊員の記録　竹田五郎著