まだ寒い2月末、大阪城梅林の梅の花を見て感動した人は、万葉集に梅の歌を残した1300年前の人達と、同じ感覚を持ったと言えるのかも知れません。そこで今回も万葉集の中から梅にちなむ和歌を紹介しましょう。
万葉集:年のはに、梅は咲けども、うつせみの、世の人我れし、春なかりけり
意味:毎年、梅の花は咲くけれども、この世の人である私には 春が来ないなあ(どこかのサラリーマンの気持ちのようです)
万葉集:春日野に 斎く三諸の 梅の花 栄えてあり待て 帰り来るまで
意味:(奈良の春日野の)三輪山の梅の花よ、私が(唐から)帰ってくるまで、咲き栄えて待っていておくれ。斎く三諸(いつくみもろ)で三輪山のこと
万葉集:万代に 年は来経(きふ)とも 梅の花 絶ゆることなく 咲きわたるべし
意味:よろず代(よ)に、年は来てまた過ぎてゆくけれど、梅の花は絶えることなく咲き続けるのだろうなあ
万葉集は、全部で20巻、およそ4540首あり、大阪出身の国文学者折口信夫は、天皇の御代の永遠を祝福する歌集として成立したという説を唱えています。
万葉集と大阪城梅林はこれで終わり
参考文献:万葉集の歴史 辰巳正明著