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肥前鍋島藩の歴史と「鍋島」
趣味を楽しむ
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2007年03月09日 20時23分14秒
肥前鍋島藩の藩祖は、鍋島直茂(1538~1618年)で、佐賀城主「龍造寺隆信」(1529~1584年)に仕えていたが島津、有馬連合軍と決戦した時に隆信が戦死し、直茂はかろうじて佐賀へ逃げ帰っている。
足利市にある古伊万里と鍋島だけを蒐集した栗田美術館の鍋島
隆信の嫡子の龍造寺政家が凡庸であったために、以後鍋島直茂が肥前の実権を掌握し、鍋島氏の佐賀藩支配が始まっている。
鍋島直茂は、島津氏への対抗上早くから豊臣秀吉の陣営にいたために関ヶ原の戦いでは当初西軍に属していた。
しかし後に東軍に寝返り、西軍の柳川城主立花宗茂を討伐し、徳川家から肥前国佐賀35万7千石を安堵されている。
鍋島家は、加藤清正(熊本52万石)、福島正則(広島49万石)、加藤嘉明(会津40万石)など豊臣から徳川に寝返った大大名家が次々と改易されるのを見て心穏やかではなかったであろう。
鍋島直茂の嫡子勝茂(1580~1657年)は、正室を廃してまでも徳川家康の養女(岡部長盛の娘)を妻に迎え、正室との間にできた長男を分家させて家康の養女との間にできた光茂を嫡男としている。
又、藩窯から生産される「鍋島」を将軍家や有力大名に贈り、改易されることの無いように万全の営業活動をして明治維新まで外様大名第8位の石高を守ったのである。
当時の鍋島を高級日本料理の「吉兆」に例えれば、柿右衛門は「かに道楽」クラス、伊万里は「和民」クラスということになり、「吉兆」を知らなかったヨーロッパの王侯は、日本といえば「かに道楽」か「和民」しかないと思い込んでいたのである。
幕末の鍋島藩10代の直正(閑叟)は、リストラを行って役人を大幅に削減、産業育成と交易に力を注ぎ、破綻しかけた藩財政を立ち直らせている。
鍋島閑叟(1815~1871年)は、最高級磁器を生産する藩窯の技術を発展させて精錬方という科学研究機関を創設し、製鉄、金属加工技術、大砲製造、蒸気機関などを研究開発させたという。
1866年には、当時の最新兵器であるアームストロング砲を自力で完成させ、藩の洋式軍に配備している。
幕末における産業革命を推進してきた佐賀藩は、日本有数の軍事力と技術力を誇っていたが、中央政局に対しては姿勢を明確にすることなく、大政奉還、王政復古まで静観を続けたという。
しかし、鳥羽伏見の戦いで薩長側が勝って以降、一転して新政府軍に加わっているので、豊臣から徳川に寝返った藩の伝統かもしれない。
最新式の兵器を装備した鍋島藩は、戊辰戦争での政府軍として大きな戦力となり、明治維新後に薩長土肥と並び称されるようになっている。
その兵器生産のきっかけは、鍋島藩の藩窯の伝統が幕末まで連綿と続いていたことによるのではないかと私は考えている。
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