知命堂日記   ~  人間五十年、下天のうちをくらぶれば、夢幻のごとくなり ~ 2005.9.11

いつ死んでもおかしくない年のころ。
夢も希望もなく、やっと生きてます。
今を夢幻と思って、ただひたすらに…

農業の集約化を…平成の農地改革

2008-05-19 05:59:31 | Weblog
消費者のための農業改革を~“企業型農業経営”と“平成の農地改革”で食料自給力をつける~
平成20年5月14日
伊藤隆敏、丹羽宇一郎、御手洗冨士夫、八代尚宏
新興国の成長による需要の急増、バイオ燃料への転用などを背景に、農業を取り巻く国際環境は潮目が大きく変わりつつある。
一方、国内では、農業の生産性向上の努力を続けてきたが、長期下落傾向に歯止めがかからない。
また、耕作放棄地の長期拡大もあり、農業生産額は大幅に減少している。
農業従事者の人口高齢化も深刻化しており、これまでの延長上の政策では、危機を克服できない状況となっている(注)。
この潮目の変化を、強い農業、強い担い手を育てるチャンスとし、
農業衰退の流れを反転させるバネにすべきである。
そこで、「21世紀新農政2008」の着実な実行と並行して、新たな発想で、
以下に述べる“企業型農業経営”を推し進めることを提案したい。
そのカギは、“平成の農地改革”。
“企業型農業経営”の拡大と“平成の農地改革”は、
消費者が国産の質の高い農産物をより安定的に、より多く享受できるようにするために、
また、農業を地域の基幹産業・雇用の場として復活させるために、
さらに、日本の豊かな資源を地球環境対策に効果的に活用するために、
極めて重要な取組である。

(注)2005年3月に、2015年度に食料自給率を76%(生産額ベース)・45%(カロリーベース)に引き上げることを目標として決定。
最新データでは、自給率は目標策定時よりも低下(2006年度;生産額ベース68%、カロリーベース39%)。

また、耕作放棄地のうち土地持ち非農家の保有する比率は2005年42.1%に達している

1.なぜ、“企業型農業経営”が重要か
①供給増加、生産コストの引下げ、輸出拡大のために
「生産調整等による生産縮小の中で価格を支える」農業から、
「規模の拡大によりコストを下げ、消費者に安定的に提供する」農業に変える
②農業分野で働きたい人のために
若者や、退職後の団塊世代などが、法人に勤めるかたちで、容易に農業に参入できるようにする
③消費者のニーズに応え、農業所得を拡大させるために
企画、生産、流通、販売が垂直的に統合された農業経営で消費のニーズに応え、さらに農・商・工が水平的に“つながる”農業経営によって付加価値を高め、一人当たり農業所得を増やす
④効率的な農地利用のために
農地の集約化、耕作放棄地の再生により、農地の大規模化を図り、土地利用型農産物の生産の効率化を行う
⑤農業の高度な技術開発のために
農業分野でのイノベーションで生産性を飛躍的に高め、また、地球環境と両立する農業を実現するには、高度な技術開発が不可欠である
2.“企業型農業経営”への課題
“企業型農業経営”を抜本的に拡大するには、以下の2点について、別紙の政策パッケージ例(9項目)を中心に、総合的な取組みが必要である。
(1) 大規模な経営展開を可能にする農地改革:「平成の農地改革」
戦後の農地改革では、小作農から自作農への転換がなされた。「平成の農地改革」では、農地を最大限に活用するための、“所有と利用の分離”を行う。これによって、地域の実情に応じた土地集約を行い、農業経営の大規模化を進めるための基礎条件を整備する
(2) 農業生産法人の飛躍的拡大に向けた要件の見直し
農業経営を志す法人の参入について、事前規制を大胆に緩和し、土地利用を中心とした事後規制体系に転換する
3. 今後の進め方
􀂾今後3年間で“企業型農業経営”の拡大と“平成の農地改革”を目指し、そのための制度改正や支援策を、政策パッケージ(別紙参照)としてとりまとめるべきである
􀂾農林水産省において、今秋までに具体的な政策パッケージ案を策定し、経済財政諮問会議においても議論を行い、年内に成案を得るべきである
2【別紙】政策パッケージに盛り込む例・・・9項目
1.平成の農地改革・・・大規模な経営展開を可能にする農地改革
① 現在の農地法体系は、農地の所有者と耕作者の一致を原則とする構成だが、所有と利用を分離し、農地が有効利用されるよう制度を整備する
(参考)農地法第1条(抜粋)・・・「この法律は、農地はその耕作者自らが所有することを最も適当であると認めて、耕作者の農地の取得を促進し、・・・」
② 長期の経営計画のもとで農業生産を行うことが可能となるよう、20年を超える定期借地権制度を創設する
③ 農地データベースを平成21年度中に完成させ、民間による農地仲介を促進する
④ 農地に関する第三者機関により、利用状況を監視・是正する
⑤ 農業委員会が設定する標準小作料制(いわば参照価格)を廃止し、需給を反映した価格体系とする
2.企業型農業経営の拡大・・・農業生産法人の要件の見直し等
⑥ 役員の過半が農業の常時従事者であることが要件となっているが(注)、農地リース方式と同様に、要件を「1名以上」と緩和すべきである
(注)農業生産法人の役員の過半は農業の常時従事者であること、そのうち過半は年間60日以上農作業に従事することが求められている。
⑦ 販売、仕入れ、農作業委託など、農業生産法人と取引のある者の議決権は4分の1以下に制限されているが、この要件を撤廃または緩和すべきである
⑧ 農業関連事業からの売上げが、売上げ全体の過半を占めることが要件とされているが、この要件を撤廃すべきである
3.農地リース方式の改善
⑨ 農地利用を希望するユーザーに対して、市町村から、使い勝手の悪い耕作放棄地の多い地域が指定される等の問題点が指摘されている。ユーザーの望む土地集約が実現されるよう、市町村の地域指定を廃止し、経営体の選択の自由度を高めるべきである。

以上が経済財政諮問会議の資料である。

農業で生きていける仕組みがなければいけない。
しかし、今の農家を今の規模でそのまま生かすことは不可能であって
農家(農業法人を含めて)の数を集約して、
生産性を高めてやらないといけない。
平成の農地改革は、その為の第一歩と言うところだろう。